baseball games .４

Ｔ#１２ ▽ ページ12

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目をつぶったまま、すん、と鼻から空気を吸うといつもそばにある、落ち着くあの甘い香りが広がった。






「んん…」

「ん…、」








外が明るくなってきているのは分かっていたけれど、何となくまだ目を開けたくなくて。隣で眠るAを後ろからぎゅう、と抱きしめた。



ああ、こんなに柔らかかったっけ、とか、こんなにすべすべだったっけ、とか寝ぼけた頭で考えながらAの首筋に顔を埋めるとどうやら起きたみたいで。






「なあに誠くん…くすぐったい」

「ん、ごめん」

「思ってないでしょ…」






もう、って体の向きをくるりと変えたかと思うと俺の胸元に頬をぴったりとくっつけた。



する、と指先でなぞるとふんわり微笑んだ彼女があの大きな目をぱっちりと開いて俺の頬にそっと手を当てた。







「何されるんやろ」

「…何もしない」

「何やそれ」







額と額を合わせて、何となく目も合わせるとくすりと笑い合った。そんなことをしている間にもうそろそろ起きる時間で。







(たまにはこんな朝も)



(ね、もう起きなきゃ)
(もうちょっとええやん)

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