ワケあり家政婦さん【アイナナ】 (ページ14)

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支える理由ページ14

あの後、思わず涙する私に慌てた三月さんに頭をわしゃわしゃになるまで撫でられたり、大和さんに慰めるように肩を叩かれたり、環くんにほっぺを手で挟まれてムニムニされたり、ナギくんに手を取られて甲を撫でられたり、陸くんは目の前で「泣かないで～！」と逆に泣かれたり、一織くんはそんな陸くんに呆れながらも可愛いストラップをくれた。

さらに酔っぱらいの壮五さんと万くんがみんなを包み込むように抱き着いてきて、そんな塊を社長と紡ちゃんはよく似た瞳を和らげて見つめていた。

もう何が何だか分からないくらいもみくちゃにされながらも、みんなの温もりを感じて、声をあげて笑った。みんなもつられるように笑う。

この瞬間、ただただ、皆さんのことが大好きだと思った。

その後再開したゲームも盛り上がり、就寝時間となり男性の皆さんとは別れ紡ちゃんと同じコテージで横になる。

「ねえ、紡ちゃん」

「はい、Aさん」

「私は皆さんの生活をサポートすることしかできませんが……一緒に支えていきましょうね」

「はい！」

お布団から手を出せば、紡ちゃんのつやつやなおててが握り返してくれる。お互いに「ふふっ」と笑いあった後、私たちは眠りについた。

＊

翌日から環くんと壮五くんのデビューに向けて二人や紡ちゃん、万くんたちはとても忙しそう。

『MEZZO″』として活動を始めてからはもっと忙しそうで、環くんたちは寮にいる時間がめっきり少なくなっていた。

現場でお食事されることが多い分、帰ってきたときに栄養バランスが偏らないような食事を提供したり、少しでも過ごしやすいように寮の環境を整えることしかできない。それがとてももどかしく思えた。

「Aちゃん、まだ帰ってなかったのか？」

夕食を終えてそれぞれがお部屋に戻って静まり返ったリビング。キッチンで作業していれば大和さんがひょっこり顔をのぞかせた。

「まだちょっとやりたいことがありまして……」

「へえ。何してたんだ？」

「明日のご飯の仕込みと、環くんと壮五くんの差し入れ作り、それから皆さんの栄養状態を保つために特製野菜ジュースを作ろうと思いまして」

指折りやろうとしていたことを話せば、大和さんは感心したように「おお」と息を吐いた。だけどその顔は何かに悩んでいるような、思いつめているように見えた。

「なあ……Aちゃんはなんで、俺たちのためにそんなに出来るんだ？」