ワケあり家政婦さん【アイナナ】 (ページ11)

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甘えたい年頃ページ11

夕食の準備が整い、皆で「かんぱーい！」と声をそろえてグラスを上げた。

成人組はビールを飲んでいるようで、なんとなく大和さんあたりに絡まれるとめんどくさそうだなと思い、申し訳ないが陸くんと一織くんの間に潜り込ませていただいた。

あ、ほら、壮五くんはさっそく万くんにお酒勧められてる。私もお酒は嫌いじゃないんだけど……かなり弱い。１杯も飲まないうちに記憶がなくなるタイプだ。初めてお酒を飲んだ時に一緒にいた万くんにげっそりしながら「お酒禁止令」を出されているし……もしかしたら酒乱なのかもしれない。

皆に迷惑かけるわけにもいかないので、わたしはひっそり未成年組と晩餐を楽しもう。

「一織くん、陸くん。魚の身ほぐしたのでどうぞ」

「ありがとうございます」

「ありがとう、Aさん！ Aさんって、俺と二つしか歳離れてないのに、お母さんみたいに思えるときあるんですよね！」

「え」

それ、前に環くんにも言われた台詞だ。更に私の老け顔説が浮上してきた。素直に喜べず「あはは……」と曖昧な笑顔を浮かべた。

「七瀬さん。２０歳の女性に母親みたいだと言うのはちょっと失礼じゃないですか」

「一織くん……！」

「え、そうなの！？ごめんなさい！ Aさんって料理も上手だし、優しいし、頼りになるから……なんか無条件で甘えたくなっちゃうんです」

「い、いいんですよ！陸くん！寮ではお母さんだと思って甘えてください！」

「貴女はどっちなんですか」

折角フォローしたのに。とジト目で見てくる一織くん。だってしょうがないじゃない。こんなに可愛いく言われちゃったらもうお母さんでもいいやって思えちゃった。

「やったー！」と純粋に喜ぶ陸くんが愛しすぎてよしよしと頭を撫でれば更に嬉しそうに笑う。環君は大型犬みたいだと思ったけど、陸くんはどちらかと言うと子犬みたいだ。どちらも私にとって癒しでしかない。

「お母さん。そこのお茶とってください」

「一織くんはなんか悪意を感じる」

「違いますよ！きっと一織もAさんに甘えたいんです！」

「な、ち、違いますよ！馬鹿なんですか貴方！」

陸くんの言葉に一織くんは一気に顔を真っ赤っかにして口元を手で覆い隠した。その反応、肯定してるようにしか見えないけど……。

「そっかそっか」と一織くんの髪を撫でると、「やめてくださいよ……」と言いながらも手をはらわれることは無かった。年下くんが可愛すぎて辛い。