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傷 石田三成 ページ1

彼はいつも私の傷跡に触れる


左目に真っ直ぐ入り、左頬から鼻にかけて横にもう1本


十字架のように入ったこの傷跡は彼が私につけたものだ


と言っても戦中の不慮の事故だし、幸い失明には至らなかったのだから気にしなくていいのに


気にしないで、と言えば悲しそうな顔をする


そしていつも


「すまない」


こう言って泣きそうな顔をする


『三成』


私が名を呼べば


「なんだ」


と優しく返してくれる


『三成、もう気にしないで。三年も前の傷じゃない』


左頬にある彼の手に手を重ねれば温かい温度が伝わってくる


「しかし・・・女にとって顔に傷があるのは・・・」


嗚呼、秀吉様の入れ知恵だな?


『何言ってるの。この乱世女だろうが顔に傷くらい出来るわ』


「だがおねね様も真田の忍びも、徳川の弓姫も傷などないではないか」


『あの人たちは別よ。私はあの人達のように強くないから。それに』


「・・・」


『三成のものって感じがしてとても嬉しいの』


彼がつけた傷


この傷は私が彼のものだという感じがして私は逆に嬉しい


もし失明したとしても私は嬉しく感じるのだろう


そして彼は私から離れられなくなると思わせる


彼は責任感がとても強い


私に傷をつけてその責任から私を守るとか言い出してずっとそばに居てくれるだろう


私はそれがとてつもなく愛おしくて嬉しいのだ



あぁ、なんて最低なのだろう


彼が気にやんでいることを私は嬉しい、などと連呼するのだ


この傷がもたらしてくれたことは私にとって都合のいいことばかり


このことをずっと待ち望んでいたのだろう


だからたいして強くもないくせに戦場にでていたのだろう


「A」


『なぁに?』


そして彼は私の手を掴んで言った









「俺がずっとそばにいてお前を守ろう」









『うん、よろしくね』









大好きよ三成


だから







おやすみ 石田三成→



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桜 水樹 - 続編出た!!やっぱり素敵な小説です!!次の更新を楽しみに待ってます!! (2016年12月25日 12時) (レス) id: f80f976a8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:栞羅 | 作成日時:2016年12月23日 18時

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