白鳥沢の貴公子 【男主】

episode８ ページ9

ようやく頭に登った血が治まって寮に戻ると
そこにはすでに食事をとっている皆さんがいた




天童｢おかえり〜Aちゃーん｣



A｢覚さんお疲れ様です｣



瀬見｢聞いたぞ、一年の合宿に工と選ばれたってな！｣



食堂には三年生を始め、白布先輩、太一さん、工の姿もあった



部活を引退したからって言っても、三年生はまだ学校があるし
寮でもこうして顔合わせはしている




A｢あれ？山形さんは…………？｣



大平｢今日は予備校だって｣



五色｢受験生大変ですね！｣




三年生は今受験シーズン
推薦の若利さん大平、英太さんはともかく



一般入試の他の三年生は勉強で大忙しだ



けど、推薦の皆さんももう大学の練習に入ってるから
元レギュラーメンバー全員が揃うことはそうそう無くなってしまった



寂しいけど、練習にはたまに参加してくれるし
俺たちの関係は相変わらず



食事を終えると、俺は部屋に戻った



そしてスマホからあの人へと電話を入れる



プルルル＿＿＿＿



プルルル＿＿＿＿




数回のコールで、彼女は電話に出た



A｢もしもし？仁花さん｣



谷地『Aくん！お疲れ様！』



愛しの仁花さんとの電話
毎週１回は仁花さんと電話をするようにしている



これが俺の癒しの時間だ



まだ仮彼女だけど、俺たちは日々ラブラブな生活を送っている



A｢どう？最近寒いけど、風邪とか引いてない？｣



谷地『元気だよ！Aくんは大丈夫……？』



A｢うん、仁花さんの声聞いて元気出た｣



谷地『はうぁ！？(ﾎﾞｯ)』



あ、今絶対仁花さん顔赤くしてるな



彼女の照れる様子を想像して、俺は電話越しに笑を浮かべる



A｢あははっ仁花さんかわいい｣



からかいも含めてそう言うと、仁花さんは突然黙り込んでしまい
電話からはなんの音も聞こえなくなってしまった



A｢仁花さん？｣

episode９→←episode７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す