心の中は明るく 顔は暗く【梵天】

可愛いなんて思ってねえから ページ37

九井side

「蘭って意外とかっこいい

顔してるよね」

突然切って落とされた爆弾発言

彼女の発言に 不思議に思いながら

グラスに目を向けると


俺がとっておいた アルコールの高い酒が

なぜか グラスに注がれている

完全に酔っている

「でも結婚するなら りんどーかここがいいなぁ ふふ」


いつもの張りつめた感じとは

似ても似つかず

ちょっとびっくりした

蘭『はぁ〜？

蘭ちゃんが一番優良物件だろぉ？』


と言って 蘭が彼女に顔を近づける

「ちょっ やめて？ 顔がよすぎてムカつく」


なんか対抗心が芽生えったていうか

にこにこ笑うそいつにどっかやられたっていうか

すっと Aをこっちに引き寄せる


九井『やめろ 蘭』

すっと 真顔になって

不機嫌そうな顔をする蘭

蘭『え〜 嫉妬？？』

竜胆『兄貴 近すぎ

離れろ』


引き寄せた体は 思った以上に小さくて

「お〜 ココ〜

あんまヤク飲むなよ〜

三途みたいになっちゃうから」

酔いながら フラフラの体が

俺に寄り掛かる



ちょっと心配していてくれたのが

嬉しいなんて


赤音さんとは似ても似つかないのに


もう動かなくなったはずの心臓に

少し電気が届いたような

その感情を俺は知っている


ギャップにやられただけだ

誰も問い詰めてなどいないのに

一人で言い訳する




酔った姿が可愛いなんて



思ってねえから

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