第56話 ページ7
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日高さんが頭を下げる
『今回わ…俺もMove onを練習して、踊ることですごく沢山のものを学べたと思いました。
でも何か不安があったり自分を疑ったりして、何でこの曲を選んだのかが分からなくなることが時々あって、それをこれからちゃんと考えて次も乗り越えたいと思いました』
動揺して、私と言いそうになってしまった…何がダメだった?考えます。と言ったけれど、覆い隠した?何を…?分からない…
考えながら外に出ていつの間にか部屋の方へ戻っていたらルイとすれ違った。
ルイ「Aくん、テンくんの所一緒に行きませんか…?」
『あぁ…うん行こう一緒に』
そうだ、そんなことよりも今はテンくん。テンくんの前ではこんな自分の事を考えてることは悟られないようにしないと…だって嫌でしょ?そんなの
ルイ「テンくん…ありがとう」
『…テンくん』
ルイとテンくんが抱き合ってるところに私も混ざる。背中を叩きあいながら、少し経ってから
テン「…頑張ってね」
ルイ「うん」
『はい』
横を見るとルイが泣かないように、泣いてるのを見られないようにテンくんに背を向けている。テンくんは皆が集まっていた部屋に入っていく。
『ルイ…俺らも行こう』
ルイを誘い、私たちも部屋に入っていく。皆で抱き合って、外までテンくんを見送った。
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それぞれ皆部屋に戻った。シュントは体育座りで頭を抱えてる。
私は日高さんに言われたことを考える。何が足りない?何を失われてる?それを、答えを出さないと次で終わる。
私に今無いもの。ダンスでも歌でもないの?別のもの?足りないものって?
こんなんで終わりなんて絶対嫌だ。だから、考えろ。最初の私にあって今の私に無いもの…
シュント「A!」
ずっと考え込んでたからかシュントの声さえ聞こえず、レオくんに肩を揺すられてようやく気づいた。
レオ「唇が……」
『え?』
唇をを触ると、唇を噛み締めすぎたのか血が出てた。
シュント「…大丈夫?」
『うん大丈夫大丈夫。もう夕飯?レオくんもシュントもありがとう』
きっと眉毛がへの字になってるであろうレオくんと何か言いたいけど何を言うか悩んでるシュント、二人に背を向け、部屋の外へ出る。
まだ何も聞かれたくない。というか聞かれたとき何を話せばいいか分からない。まず、男と騙してる時点で後ろめたい事があるんだから
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作者名:蓮井さん | 作成日時:2022年1月15日 19時