couple box (ページ7)

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ある日、俺は買出しに行っていた。
もちろんクラブで使う食材を買うためである。

ふと、あの公園に行きたくなって足の向きを変えた。

やっぱりこの公園は変わってへん。
いや、正確にいうといまは花も申し訳程度に咲いているだけやし、車どおりも多いから、子供が思い切り遊べるような場所ではないんやけど、心が、懐かしいと、変わってないといっている。

...なんてロマンチックになりすぎたな(笑
久しぶりにリフレッシュできたところで帰路に戻ろうと踵を返したとき、子供たちのざわめきが聞こえた。

「ええー、こんなお話、知らない！」
「私もー！おひめさまが出てくるお話がいい！」
「ロボット！ロボットは！？」

見ると、今では見られなくなった紙芝居屋が子供たちに紙芝居を見せていた。
最初はつまらなさそうに聞いていた子供たちも、老人の上手な話し方にすっかり心を奪われたようで、真剣に聞いている。

そのとき、後ろから声をかけられた。

「ジョニー？」

振り返ると、花かごを抱えたヤスが立っていた。

「ヤス！どうしたん、こんなところで。」

「配達の途中！ジョニーこそ、ボーっとつたって、なにしてるん？」

「いや、あの紙芝居のおっちゃん、すごいなぁ、思て。子供たち、みんな引き込まれてるわ」

「ん？あの人どっかで...
あ！思い出した！この先の駄菓子屋のおっちゃんや！懐かしいなぁ...」

「あ！そうや！どっかで見たことあると思ったら！あのおっちゃんか！確かにあんときからしゃべるの上手やったなぁ...」

「ジョニーも行ってたん？」

「うん。この公園で遊んだあと、30円握り締めてよう行ってたわ」

「僕もよう行ってたわぁ...店無くなってしまって残念やったけど、おっちゃん元気やったんやね、よかった...

てか俺らほんま一回どっかで会ってるって！！！話合いすぎやもん！！
あそことか覚えてる？この角の八百屋のおっちゃんがさ...」

「じゃんけんで買ったら飴くれんねやろ！？あったわー。そんなん。飴ちゃんほしくて何回も八百屋行ったら顔覚えられてさ、一日一回までやって(笑」

「あったな。たぶんそのルール作らせたん、おれやで(笑」

「まじか、ヤスっておてんばやったんやね。あ、じゃあさ、ここの裏の大きな犬、覚えてる？」

「覚えてる！覚えてる！あの犬怖かってん...」

なんて、あのおっちゃんをきっかけに、なぜ今までこの話をしなかったのかと思うほど、思い出話に花が咲き、

もう、今夜のみに行こう！という流れになった。