couple box (ページ35)

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俺は意を決して

「う、うん…まだ全部思い出したのかは、分からないけど…
でも、みんなと出会ってからのこととか、あの日のこととか、子供の頃のことも、断片的やけど思い出したで。」

「そっか…いや、ほんま、よかったわ。」

…今はアーセナルと向き合うことが、ジョニーの目を見ることが、すごく辛い。

「…はいはい。まだ診察するから、部外者は出ていってくださーい」

「ちょ！先生！押すなって！」

「…ジャッキー。次その名前で呼んだら、お前の臓器海外に安く売り飛ばすからな」

二宮さんが追い出したので、必然的にこの部屋には俺一人になった。

…はぁ。ほんとにこれからどーしよ。
とりあえず、もうクラブにおる必要はないから、出ていかなアカンよな。
あ、店もどーしよ。まだ仕事あるといいけど、閉店したと思われてたら、また1から名前売らないかんなぁ…

ほんまは、分かってんねん。
ちゃんと2人に向き合わなアカンってことくらい。
でも、2人に向き合う前に、俺は自分がだれなのか、知らなきゃいけない。

いや、誰なのかというと語弊があるな。
記憶を無くす前と後、どっちがほんまの俺なんや？
そりゃ、年数でいったら無くす前の方が俺なんやろーけど、ここ数ヶ月の記憶は、完全に後の方や。やっぱり最新の記憶の方が自分らしい気がする。
そーなると、今の俺が好きなんはアーセナル？いやでも、そもそもその好きって感情もほんまもんか分からへんし…
じゃジョニー？…いや、記憶を無くしたからこそ、分かる。俺はジョニーが好きやったんやくて、あの日の男の子が気に入ってただけや。

前は好きと勘違いしていたけど、違う。ハッキリ分かる。

…おれは、どうすればええんやろ…？

診察を無事に終えた俺は、
とりあえず、元の家にかえる事にした。
みんなは止めてくれたけど、もう日常生活を過ごすには、なんの問題もない。

まぁ、それでも、ほぼ毎日顔は出してるかな。

ただ、アーセナルとジョニーの態度が変わった。