couple box (ページ32)

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安田side

ジャッキーから頼まれたおつかいの帰り道。
ふと、あの公園に立ち寄ってみた。
ここに来ると、頭にモヤがかかんねん。
でも、嫌な感じじゃなくて、すっごく暖かい感じ。
そう思ってたらジョニーに声をかけられて、ベンチで話をした。
ジョニーの恋バナなんて意外やったけど、きっとジョニーなら上手くいくと思った。

「なぁ、ヤス。さっきさ、勇気出して告白した方がええって言ったよな？」

「うん。その方が相手の子も嬉しいと想うで？」

するとジョニーはベンチから立ち上がった。

「ヤス。おれ、ヤスが好きや。」

…そのあと、
「ごめん。困らせたな。でも、これが本心やから。考えておいてくれへん？

…じゃ俺先にクラブに帰ってるから」

と、俺のおつかいの荷物を持って出ていってしまった。

「…どーしよ。」

この時、ジョニーはすぐ出ていってしまったから気づかなかったのだろうけど、

俺は昔の記憶を取り戻していた。

小さい頃、ジョニーとよく遊んでいて、お互い将来再会することを誓いオモチャの指輪を買ったこと。

ガムに花をぶっかけてしまい、再会を果たしたが、会った瞬間にジョニーは俺の顔を見てなにも反応しなかったから、覚えていないと思ったこと。

俺がジョニーを好きだったこと。

小さい頃の俺は、姉の影響もあって女の子みたいやったし、それを疑問にも思わなかった。
男同士でも好きやったら結婚するもんやと思ってた。

でも、小学校にあがり、自分の考えが間違っている事を知った。

そこで1番に思ったのは、ジョニーのことやった。
ジョニーは俺の事、男やってわかってたか？
それとも女の子やと思ったから、指輪を買ってくれたんかな？

その答えは数年後偶然再会した時に分かった。

ジョニーは相変わらずカッコ良かったが、俺の事を見て感情のない目をしていた。

もし、子供の頃の俺が男やって分かっていたら、俺の事見てすぐ分かるはずやねん。
俺そんな変わってないから。

せやけど、ジョニーはなんやコイツって目をしたから、俺の望みは途切れた。

…けど、やっぱり気づいて欲しくて、ズルい俺は賭けに出た。

ジョニーと呑みに行った日、普段は大切にしまっている指輪を嵌めていった。これで彼が気づいてくれなかったら、俺は素直に想い出に蓋をしようと。

俺は酔ったフリをして、行動を待った。

すると、彼も指輪を取り出した。

あ、よかった。覚えててくれたんか、と。
それと同時にジョニーを傷つけてしまった、と。