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3. ページ4
〈A side〉
｢大丈夫やで｣
そう言って安心させるように顔布を揺らしたロボロ様に会釈を返した。
どうせデタラメだろう。廊下を歩く人達は皆、私を不審げに見て、ロボロ様に尋ねるような視線を向けている。
…そう分かっているけど。ロボロ様は気を使ってくれただけだとちゃんと理解しているのに。
何かが、胸の中に広がる。
これはなんだろう。分からない。けれども、とっても暖かくて、嬉しい。
嬉しい？
……そうか、私は嬉しいんだ。
何故かは分からないけれど、私は今とても嬉しい。
長らく忘れていたものを今私は感じている。
この気持ちは間違いなく、ロボロ様が与えてくださったもので。
｢…ありがとうございます｣
蚊の鳴くような声で私はお礼を言う。
ロボロ様の顔布が風で翻る。一瞬だけ見えた優しく細められたローズクォーツの瞳は、確かにAを見ていた。
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作者名：朔弥 | 作成日時：2020年12月27日 23時
