ダンス ページ33
ci side
Aの腰に手を置いて、Aの手が俺の肩に置かれる。
もう片方の手は軽く繋いで、音楽に合わせて回る。
『…結構踊れてるじゃん。ちょっと練習した？』
ci「俺が練習なんかするタチやと思うか？w」
『チーノのことだし、少しはしてそう。』
ci「…まぁ、ほんのちょっと確認程度にはやったよ」
『やっぱり。って言いながら私もちょっと踊ってみたけどね。』
ci「わろたw」
なんて談笑するほど、リラックスして踊っていた。
Aに触れられるこの時間が、俺だけを見てるこの時間が、あっという間に過ぎていく。
もっと触れたい、もっと俺を見て欲しい、そんな欲望が心に渦巻いて苦しいくらいだ。
最後の音がダンスタイムの終わりを告げる。
そして、大きな拍手が会場を包む。
『…チーノ…？』
ci「…。」
『行かないの…？』
繋いだままの両手を離したくない、まだAと見つめ合っていたい。
心に湧いたわがままを実行してしまっている俺を不思議そうに見るA。
あぁ、もう、なんでこんなに好きなんやろ…
手を離し、会場の隅までエスコートする。
ウェイターが持ってきたシャンパンを手に取り、また二人で他愛もない話をしながら、緩やかなクラシックに耳を傾けていた。
二度目のダンスタイム、三度目のダンスタイムと、俺達は踊った。
三度とも本当に一瞬だった。
こんなにAに触れられて、Aと目が合って、笑って、たくさん話せることなんて今まで無かった。
バルコニーに出て、またシャンパン片手に言葉を交わす。
『楽しかったね、』
ci「せやなぁ…」
『普通に舞踏会でダンスを踊るなんて初めてだった…いつもは仕事だったから、』
Aは夜空を見上げながらそう溢した。
ci「…A、」
『ん？』
ci「また、俺と踊ってくれる？」
『もちろん。でも、もう今のダンスタイムで最後だけど…』
ci「これからもずっと、俺のダンスの相手してくれって意味や。」
『……いい、けど…』
ut＜…もしもし？チーノ、Aちゃん聞こえる？＞
ci「なぁに〜？」
ut＜俺らこれから宿泊先行くんやけど…そっちはどうする？＞
ci「あー、どうしよ。Aはどうしたい？」
『私は十分楽しめたし、お開きでもいいよ。』
ci「ほな俺らも帰るわ。」
ut＜了解。会場の出入口前で待っとるわ。＞
インカムの通信が切られる。
ci「行こか。」
『うん。』
Aを出入口から馬車までエスコートして、俺達は宿泊先で眠りについた。
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イデア(プロフ) - ひなさん» ひなさんコメントありがとうございます！そう言っていただけて凄く嬉しいです…！こちらこそご愛読ありがとうございます！！ (2021年7月13日 20時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - は、初コメ失礼しますっ！いつも読ませて頂いております…！最近知ったばっかの新規でして…本当にいつも素敵な作品をありがとうございますっ…！ (2021年7月12日 1時) (レス) id: 2474e749f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イデア | 作成日時：2021年3月31日 20時
