後悔 ページ21
「私がマンデル帝国で過ごした13年のうち、Aを想わなかった日はありませんでした。
だから、13年振りにあの子に会った時、あの子に触れる事ができた時、本当に嬉しかった。
Aが私を変わらず“お母さん”と呼んでくれただけで私の13年間は救われたんです。
ただ、私は我が子の成長を見守れなかった。
母親として、Aが大人になるその日までずっと傍に居たかった。
ただ傍にいることがどれほど大きな幸せか…
そしてそれが、Aにとってどれほど大切なことか。
あの子が13年間過ごしていた世界のことは、なんとなくですが知っています。
まだ子供だったのに、あの子の目に映ったのは暗くて血みどろの悲惨な世界。
たくさん痛い思いをしたでしょう、ひどく寂しい日々だったはずです…」
ci「…えぇ。」
「私がAと会話してる時、Aはみなさんのことをよく話してくれます。
でも、A自身のことや、この国のことはあまり話してくれません。
きっと、話せないんだと思うんです…
しんぺい神さんからここでのAのこと、少し聞いています。
月に2度程、仕事人として依頼を片付けに行っていたそうですね。
城下町に遊びに行くなんてことも、無かったんじゃないでしょうか…
あの子の身体は強く逞しくなった。いろんな経験をへて、価値観すらも大人になったでしょう。
ですがあまりにも、この世界を知らな過ぎる。
あの子が本来知るべきだったことは、おしゃれや可愛いものに対する興味や、人に甘えること、そして人生を楽しむことです。
あの子には何もかもが足りな過ぎる。
私は母親失格です、ろくに甘やかしてやることもできず、何も与えられなかった…
それどころか私のせいで、大切な時間を奪ってしまった。
だから…チーノさん…あの子に本当の世界を教えてやってくれませんか。
助けてもらった上に、こんなお願い、身勝手なのは承知の上です。どうか…」
そう言って、深々と頭を下げられる。
Aはずっと、お母さんに愛されていたんだと実感した。
愛されていたからこそ、死に物狂いで戦ってきたんだ。
ci「顔を上げてください。」
Aを大事に想う気持ちは、俺も負けてない。
ci「お願いなんてしなくても、喜んでご協力しますよ。」
「ありがとうございます…」
安堵したような微笑みに、Aの面影を感じながら、俺はその部屋を後にした。
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イデア(プロフ) - ひなさん» ひなさんコメントありがとうございます！そう言っていただけて凄く嬉しいです…！こちらこそご愛読ありがとうございます！！ (2021年7月13日 20時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - は、初コメ失礼しますっ！いつも読ませて頂いております…！最近知ったばっかの新規でして…本当にいつも素敵な作品をありがとうございますっ…！ (2021年7月12日 1時) (レス) id: 2474e749f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イデア | 作成日時：2021年3月31日 20時
