実感 ページ16
1ヶ月後。
戦後の処理も落ち着いてきた頃、ついに終戦の宴が開かれることになった。
お母さんはあれからしんぺいさんの言ってた通り軍の敷地内にある、療養のための離れの方で過ごしている。
同じく療養している兵士と仲良くなったみたいで、会いに行くと本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
終戦の宴は、軍全体が明るく騒ぐ時間。
今回は特に死者が出なかったため、いつもよりも賑やかだ。
「Aさん。」
ふと、声をかけられた。
『トラゾーさん』
trz「どうも。お言葉に甘えて来させてもらいました。
みなさん無事でなによりですね」
『はい。おかげさまで…
チーノから聞きました。トラゾーさんの協力が無ければこんな結果にはなってなかったと思います…
本当に、ありがとうございました』
深く、深く頭を下げる。
trz「いやいやいや！そんな、やめてください！
俺、Aさんや我々国の人達みたいに戦ったわけじゃないですし、ほんと、大したことしてないんで…！」
『戦争のことだけじゃないんです、私が仕事人になってからずっと、本当にトラゾーさんには支えられてて…
どう、感謝していいか…』
trz「……じゃあ、感謝の印に、これからは友達として仲良くしてくれませんか。」
『…はい？？』
唐突かつ意外な申し出に顔を上げる。
trz「いやぁ、実はずっと協力者っていう立ち位置にモヤモヤしてたんですよね〜
ほら、俺達同い年ですし、長い付き合いでそこそこお互いに知ってる仲じゃないですか！」
『え、いや、そうですけど…
そんなことでトラゾーさんからの恩恵に報えるとは思えな』
trz「そんなことじゃないですよ。
あの人達が、Aさんに仲間になって欲しかったのと同じように、俺も貴女と心から仲良くなりたいんです。
Aさん、貴女は自分が思っているよりもずっと、いろんな人に必要とされてます。
仕事人としてではなく、親しい友として。」
トラゾーさんはそう言うと、他の幹部の方にもご挨拶しに行ってきますんで！と、走り去って行った。
私が、必要とされている…
仕事人としてではなく、友として……
心から………
グルさんは…いや、彼らはずっと、私の事を仲間だと言ってくれていた。
そして、これからも。
トラゾーさんの言葉が溶け込むように心に響く。
『友達なんてできたの、初めてだ…』
少し照れくさいような、そんな気持ちを抱きながら夜の宴を待った。
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イデア(プロフ) - ひなさん» ひなさんコメントありがとうございます！そう言っていただけて凄く嬉しいです…！こちらこそご愛読ありがとうございます！！ (2021年7月13日 20時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - は、初コメ失礼しますっ！いつも読ませて頂いております…！最近知ったばっかの新規でして…本当にいつも素敵な作品をありがとうございますっ…！ (2021年7月12日 1時) (レス) id: 2474e749f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イデア | 作成日時：2021年3月31日 20時
