笑顔がみたい ページ13
me side
目が覚めてから、3日が経った。
みなさん曰く、私は我々国に帰ってきてから2日ほど目を覚まさなかったらしい。
極限状態で戦い、目的を成し遂げた安心感から目を覚ますのに時間がかかったのでは？とオスマンさんが言った。
確かに筋肉痛の名残は今も少しある。
けどそんなことよりも…
『…なんで、まだ目覚めないの…？』
私が吐いた問いに、その場にいたチーノが口を開いた。
ci 「……Aと同じように、体の回復に時間がかかってるやと思う。」
先日、しんぺいさんにお母さんのカルテを見せてもらった。
身体中の傷、及び傷痕。そして、極度の栄養失調。
昔私の目の前で押された焼印の痕もしっかり残っていた。
身体中の傷や痣の中には、１ヶ月前のものまであったらしい。
すなわち、栄養失調によって自然治癒力が上手く発揮されていないことの証明だった。
未だに目覚めないのも、おそらくは栄養失調の影響だろうと、理解はできる。
理解できるからこそ、苦しい。
仕事人として生きる日々は、目まぐるしく、常に孤独だった。
安心できる瞬間なんて存在しなかった。
それでも、母を取り戻せばまたあの幸せな毎日に戻れると思ったから、苦しみなんて感じずにこれた。
だけどもし、このまま目覚めなかったら……？
…怖い。
『私…もう、一人になりたくないよ…』
チーノが私の肩に手を置く。
何を言うでもなく、ただ傍にいてくれた。
ねぇ…お母さん…、早く起きて…、昔みたいに笑ってよ…
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ci side
Aが目覚めた翌日から、Aは医務室から出てこなくなった。
理由はわかってる。
Aの母さんが目覚めてないからだ。
命に別状はない。
これは揺るぎない事実で、それは現在進行形で電子音が教えてくれている。
それでも、Aは俯いたまま。
『私…もう、一人になりたくないよ…』
そう呟いた声は、今まで聞いたことないくらい弱々しくて。
俺はなんて声をかけていいのかわからず、ただ傍にいることしかできなかった。
戦争に勝った。
Aが仲間になった。
これからずっと一緒にいられる。
全部喜ばしいことやのに、お前が笑ってないと喜べへんやん…
早く、Aの笑顔がみたい。
それでまた、笑い合いたい。
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イデア(プロフ) - ひなさん» ひなさんコメントありがとうございます！そう言っていただけて凄く嬉しいです…！こちらこそご愛読ありがとうございます！！ (2021年7月13日 20時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - は、初コメ失礼しますっ！いつも読ませて頂いております…！最近知ったばっかの新規でして…本当にいつも素敵な作品をありがとうございますっ…！ (2021年7月12日 1時) (レス) id: 2474e749f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イデア | 作成日時：2021年3月31日 20時
