総統の目に映る者 ページ31
me side
『…はぁ、』
なんとなく吐いたため息は、私とは裏腹に澄んだ青空へと溶けていき、
冬の空気にまざって、ほのかな春の匂いが鼻腔をくすぐる。
あれからものすごく考えた。
仕事中もずっと。
まだ、まだ、私は答えを出せない。
幸せが手に入るなら、なんだってする。
なんだってやってきた。
いつか幸せになるために。
ベランダから離れて、向かった先は総統室。
自分でも、何故ここに来たのかわからない。
ノックを3回、中に入る。
gr「…おぉ、Aか、珍しいな。」
驚いたような顔で、グルさんは笑った。
『…少し、聞いてみたいことがあって。』
gr「なんだ？」
『……何故、貴方は、貴方達は、私を仲間と言うんですか。』
ずっと、わからなかったことを、
ずっと、本気にしてなかったことを、
初めてここで、聞いてみることにした。
gr「それは、お前が俺達にとって、この国にとって、必要な人間だからだ。」
その答えは驚くほどはっきりとしていて。
『……どうして、私が必要な人間だと、思うんですか？』
gr「完全な俺の勘だな！」
『え。』
グルさんは得意げに鼻をならし、自信満々にそう言った。
勘って…大丈夫かなこの人、と呆れの表情を浮かべると、さらに彼は言葉を続けた。
gr「いや、正しくは、勘だった。と言うべきか。
さっきの答えを訂正しよう。
俺達が、お前を必要としているからだ。」
これまたはっきり、断言された。
曇りのないまっすぐな眼差しに、彼が見ているのは仕事人のガイラーではなく、
私なのだと思った。
『…っ、グルさん。』
gr「なんだ？」
その目が、声が、動揺するほど優しくて。
悔しいけど、認めてしまった。
私は、この国が好きだ、と。
でも…、でも、
『…………いや、いきなりお邪魔してすいませんでした。
やり残した仕事を思い出したので、これで失礼します。』
私は、あなた方の言葉を素直に信じられるほど、単純な生き方をしていない。
しかし一方で、信じてみたいって、思ってる。
もうちょっとだけ、待ってください。
gr「…ああ。またいつでも来るといい。」
グルさんはまた私に優しい言葉をくれた。
総統室を出て、自室。
今日はなんだか、何もする気になれなくて、
そのままベッドに倒れ込む。
目を瞑り、暗闇に浮かぶのは…
遠い記憶…
『もう、迷わないって、決めたはずなんだけどな…』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イデア(プロフ) - 幽さん» 嬉しいですｯｯ！ありがとうございます！！ (2021年1月17日 22時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
幽(プロフ) - あ…あ…(カオナシか）イデアさんの作品本当好きです…頑張ってください！！！！(クソデカボイス) (2021年1月17日 22時) (レス) id: f39ca8b6cc (このIDを非表示/違反報告)
イデア(プロフ) - momo さん» momoさん…！最近更新できてなくてすいません()ありがとうございます、頑張ります…！！ (2020年7月11日 18時) (レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
momo - イデアさんお忙しいかもしれませんが頑張ってください（一人の読者より） (2020年7月11日 18時) (レス) id: 3d27b60cc8 (このIDを非表示/違反報告)
イデア(プロフ) - momo さん» ci「…ﾀｽｹﾃ」zm「お前もっと食えや！こんなんじゃ俺になんて一生勝てへんぞw」syp「何したんやお前……（）」 (2020年6月18日 20時) (レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イデア | 作成日時：2020年4月4日 4時
