幼馴染チョコ 3 ＠ちー。 ページ3
どこに向かうのかも分からず早足で歩く灯油について行くのは大変だった。
何故自分が灯油に手をひっぱられているのか、さっきの沈黙は何だったのか、どこに向かうのか、疑問は沢山あるけどそれを聞きだせるような雰囲気はこいつには無かった。
着いた場所は昔よく遊んだ公園だった。
何故か手は離されないけど。
そしてまた、沈黙。
どうすればいいのかわからなくなってきたので、灯油の言葉を待つことにした。
部活帰りの中学生だろうか、人がぼちぼち増えてきた頃、口を開いた。
「俺さ、ぶっちゃけ結構モテる方だろ？」
「結構どころかめちゃめちゃモテると思いますよ」
第一声はまさかのナルシスト発言だった。
「今ぜってぇナルシストだ、とか思っただろ」
「だ、だってそんな感じだったじゃんか」
「ちげーよ」
あ"ー、と空いている手で頭をぐしゃぐしゃ掻き乱す。
「話、戻すぞ」
「うん」
風が冷たい。
雪が降ってきた。
「さっき、好きなやついるかって言っただろ」
「言ったね」
少し胸が痛くて俯く。
「あれ、
お前の事だから」
さっきまで私が考えていた言葉が灯油の声で聞こえて頭が真っ白になった。
はっ、として見上げると普段より熱のこもった様な目をして私の目を見ている灯油がいて嘘なんかじゃないと嫌でも分かる。
…分かっているけど、信じられない。
まるで夢みたいで。
目を合わせられなくて逸らす。
「ま、またまた随分悪質な冗談だねー？ そんなのこの幼馴染様には通じないよー」
「冗談何かじゃねー！」
逸らした顔を掴まれて無理矢理前を見さられる。
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