涙色ちょこれいと*2 ページ12
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「い、いってきます…！！」
ついにバレンタイン当日。放課後になった今、luz先輩を探しに一つ上の学年の校舎へ。
「…いるかな…」
ちらっと教室の中を見てみると、いつものようにクラスメイトの先輩たちと笑っていた。
その中にはやっぱり女子もいるわけで…――――
「あれ、誰かに用事？」
こちらに気付いたluz先輩ではない先輩にそう問われた。
「えっ、あ、その…」
「あ、luz？ちょっと待ってね。呼ぶから。
――おい、luz！お客さん！」
察しがいい先輩は、luz先輩を呼んでくれた。
luz先輩はこちらを向くと、いつもの笑顔でこちらへ歩いてきた。
チョコの袋を後ろに隠す。
紙袋を持つ手に力がこもる。
「あの、ふっ、二人で話したいことがあります…少し、いいですか？」
「うん。いいよ。あ、ここじゃあれだね。…んと、階段の踊り場に行こうか。」
そう行って、私の手を引いて階段へ向かったluz先輩。
無意識か、それとも確信犯か。知っているのは彼だけ。
そうしてやってきた階段の踊り場。
「で、話って？」
ニコニコして尋ねてくる先輩は、いつもとかわりなくて。
「…先輩、好きな人……いますか？」
何故か口からもれた言葉は、“好き”出もなく、“チョコ受け取ってください”等の言葉でもなく。
「―――――いるよ。」
ほら、やっぱりいるんじゃん。
心の奥底で期待してた自分が馬鹿みたいだ。
「――――あ、の……やっぱり、いいです。
なんでもありません。貴重な放課後の時間を潰してしまってごめんなさい。」
「えっ、ちょ…」
逃げるようにそう言ったあと、luz先輩のその声にも耳を傾けずに走る。
放課後の廊下。流石にもう人はあまりいない。
誰もいない廊下をただただ、走る。
*
夢中で走ってやって来たのは自分の教室。
「……覚悟してたじゃん、ばかぁ…………！」
耐えていた涙も止めることができないくらい流れてきた。
伝わればそれでいいなんて、嘘じゃん。
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