幼馴染チョコ 2 ＠ちー。 ページ2
何も私だって好きでこんな阿呆らしい事してるんじゃない。
ずっと前、幼稚園の頃から灯油が好きで。
でも、勇気が無くて年長だった私はこいつの為だけに作ったチョコを渡すことが出来なかった。
だから毎年毎年
“幼馴染チョコ企画！”
なんて言って本命なのを黙って渡してきた。
好きで居続けて早10年。
灯油が彼女を作らない事がただ一つの救い、かな。
でもあんなに告白されているのに毎回断ってるし灯油、好きな人いるのかな…
「ね、ねぇ灯油」
「ん？」
「好きな子、いないの？」
「あ？ いきなりどうした」
訝しげに見る灯油。
「だって、モテるのに中々彼女作らないから」
「じゃあ、逆に聞くぞ？」
「え？ う、うん」
一呼吸置いてから次の言葉を告ぐ。
「毎年俺のとこ来てるけど、
お前こそ好きなやつ、いないのか…？」
探る様な顔に、思わず目を見張り吹き出してしまった。
また、訝しげな視線を向けてくる。
「いるって言ったら？」
「…は？」
重たい沈黙。
しかめっ面で何を考えているのがわからない灯油。
自惚れても良いのかな、何て。
そんな事あるか。
実は両想いでしたー、何てドラマみたいな事早々ないって。
やばい、分かってたけどやっぱりキツイや…
いるわけないじゃん、嘘だよって嘘をつこう、この嘘は許されるよね。
「な、何て、ね？ ぅ、嘘！ 好きな人何ていないよ！ 」
怒鳴るように否定する。
本当に、そうでもしないとやばい。
絶対声震えてたし。
無表情を突き通す灯油。
暴露た、かな。
ふと靴を踏みつけるように履いた灯油は玄関を開けて、
「母さん、ちょっと出かけて来るわー」
「え…っ、と、灯油…？」
ぐいぐいと強引に手を引っ張り家から出される。
はいはいーと聞こえる声にお邪魔しましたー、とギリギリで伝えて。
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