幼馴染チョコ 1 ＠ちー。 ページ1
2月10日。
バレンタインデーまで後4日。
ピンポーン
非リアである私Aはお隣で幼馴染である灯油の家を訪ねている。
「はーい」
ドアが開いた。
「あ、おばさんこんにちはー！！」
「あら、Aちゃんね。 待ってて今呼んでくるわね」
「はい、待ってまーす」
こんな風に誰に用か言わなくても伝わるくらいな仲でして。
「灯油ー、Aちゃんだよー」
「あ"ー？ …っと、今日何日だっけ」
「何言ってるの、10日でしょ」
「…くそ、やっぱりそろそろだったか」
気を落としたような声とため息が丸聞こえだ。
まあ、しょうがないのかもしれないけど。
だって彼奴は毎年毎年、鼻血が出るんじゃないかって言うくらいクラスの女子、先輩後輩、はたまた他校の美少女などチョコを貰えている。
その女子にいちいちお返しとかしてるんだから集る女子も増える増える。
幼馴染の私が言うのも何だけど世の中で言うところのイケメンってやつだ。
ちなみに、お返しとかをするのは灯油の良心からなんだけど、最近面倒臭く思っているらしい事。
その女子の心がこもったチョコの大半を私が美味しく頂いているっていう事は内緒。
ここ数年のことを振り返っていると気だるそうにドンドンとゆっくり階段を降りて来る音が近づいていた。
「おー、こんにちはAさんや。 今年もですかい」
嫌味っぽい口調。
成る程、流石に察しが良い。
「はい、後察しの通り。 毎年恒例。題して…
“Aちゃんの幼馴染チョコをモテ男、灯油君にあげちゃおう”
企画でございます。」
腰、頭に手を当てて呆れ切った表情を浮かべた灯油。
更に私がこの家に来て約3分程だろうか。
…早くも2回目のため息、炸裂。
「灯油さんや、そんなにため息ばっか付いてたら幸せ逃げますよー？」
「お前な、誰のせいだと思ってんだよ…」
「えー？ 何々、聞こえなーい」
「はぁ、そうかいそうかい、分かりましたよ」
あ、3回目。
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