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俺がこれ以上なにも言わないことを悟ったAは自らカーテンを開けた。
そうして俺を真っ直ぐに見つめるから、俺はその射し込む夕焼けに染まる黒い瞳に耐えきれなくなってしまう。
さり気なくを装い視線を外すも、Aは俺を見ていた。
『いつも銀ちゃんは助けてくれるよね』
『……たまたまだろ』
『一番傍にいてくれてるからでしょ?』
そう言ったAを俺は思わず凝視した。口は自然と少し開いてしまうのだが、肝心の声はまだ出ない。
『……歩きたくないから、自転車の後ろに乗っけて』
「一緒に帰ろう」と遠回しに言うAに頷き、共に鞄を取りに戻ってから昇降口へ向かう。
駐輪場から自転車を出している俺からも視線を外そうとしない彼女は、俺を見張っているみたいだ。
自転車の後ろにちょこんと腰を下ろしたAを確認した後、俺はペダルを踏む。その時俺の腰に彼女の腕が周り、それがいつもより力が強いのではないかと思ってしまった。
まるで俺の存在を確かめているような行動に疑問が湧いて出る。居なくなるのはどちらかと言うとAの方だ。
通学路を半分ほど過ぎたところで、ようやく閉じきっていた声を彼女は出す。
『苦しくなかった?』
『……なにが?』
『私がずっと、晋ちゃんのことばっかり見てて』
そんな私の恋愛相談を聞いても俺は辛くなかったのか、そうAは聞いている。
乾いた喉から声を出そうとしてもヒリついてはくっついて、なかなか思うように声が出ない。
取り敢えず唾を飲み込んだ俺は震えそうな声を押し殺し、平然を装ったフリをして話し始めた。
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ハル(プロフ) - りんごあめさん» りんごあめさん! またまたコメントありがとうございます!! そうなんですよ、高杉にフラれるんです。もう涙なしではかけませんでした笑 今度は高杉をカッコよく書く作品出したいなあとは思ってますので、その時も閲覧よろしくお願いしますね! ありがとうございました (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 音想さん» 切なすぎて銀さんがー……と私自身思っていたのですが、最後は無事にハッピーエンドを迎えました! 大好物でしたか! それは嬉しいです( ´ ∀`) これからもどうかよろしくお願いします! コメントありがとうございました! (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 本当に、ハルさんの作品は何を読んでも最高です!面白いだけじゃなくて、なんかその話にのめり込めます笑 私も高杉が大好きなので、振られるなんて…(;´Д`)ウウッ……と思いましたが、銀さんのかっこよさがヤバかったです!!とにかく、本当に良かったです! (2017年10月19日 0時) (レス) id: 7662a2da74 (このIDを非表示/違反報告)
音想(プロフ) - 切なすぎて尊すぎて死にそうでした…こういうの大好物です。凄い好きだー!!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!これからの作品も楽しみにしています! (2017年10月18日 1時) (レス) id: 7258d80b20 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - あかあしえいたくんさん» そうなんです笑 最後の銀さんかもしれません笑 信者!? 私にも信者がいるなんて……! あかあしさんは私の信者のオンリーワンですね笑 ありがとうございます! その言葉を励みにこれからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくどうぞ( ´ ∀`) (2017年10月12日 16時) (レス) id: 728b0d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年10月10日 18時