29 ページ30
『……おい』
Aのいる窓から視線を外した俺は、体操着で汗を拭う高杉に声をかける。
『Aがお前に手ェ振ってただろ、なんで振り返えさねェんだよ』
期待を持たせないようにしているのかもしれないが、それくらいは良いではないか。しかし高杉は意味が分からないと言いたげに眉間に皺を寄せ、口をへの字に曲げた。
そうして俺を指差し、「お前」と口を開く。
『ありゃどう見たってお前に振ってただろ』
そう言っては気怠そうに首を軽く回す。その姿を呆然と見てからAの居た窓を見上げるも、そこにはもう誰もいない。
いや、あれは高杉だった……よな?
モヤモヤした霧が胸の中に立ち込めていき、彼女のことがよく分からなくなってくる。俺が笑ったから振り返してくれただけなのだろうか。
それともやっぱり高杉の勘違いで、本当にAはこいつに手を振った可能性だってあった。
過度な期待はかえって虚しくなるだけであり、余計なことは考えないようにしよう。
そう決めた俺は、体操着の襟首部分で口元を覆い隠した。
118人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル(プロフ) - りんごあめさん» りんごあめさん! またまたコメントありがとうございます!! そうなんですよ、高杉にフラれるんです。もう涙なしではかけませんでした笑 今度は高杉をカッコよく書く作品出したいなあとは思ってますので、その時も閲覧よろしくお願いしますね! ありがとうございました (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 音想さん» 切なすぎて銀さんがー……と私自身思っていたのですが、最後は無事にハッピーエンドを迎えました! 大好物でしたか! それは嬉しいです( ´ ∀`) これからもどうかよろしくお願いします! コメントありがとうございました! (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 本当に、ハルさんの作品は何を読んでも最高です!面白いだけじゃなくて、なんかその話にのめり込めます笑 私も高杉が大好きなので、振られるなんて…(;´Д`)ウウッ……と思いましたが、銀さんのかっこよさがヤバかったです!!とにかく、本当に良かったです! (2017年10月19日 0時) (レス) id: 7662a2da74 (このIDを非表示/違反報告)
音想(プロフ) - 切なすぎて尊すぎて死にそうでした…こういうの大好物です。凄い好きだー!!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!これからの作品も楽しみにしています! (2017年10月18日 1時) (レス) id: 7258d80b20 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - あかあしえいたくんさん» そうなんです笑 最後の銀さんかもしれません笑 信者!? 私にも信者がいるなんて……! あかあしさんは私の信者のオンリーワンですね笑 ありがとうございます! その言葉を励みにこれからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくどうぞ( ´ ∀`) (2017年10月12日 16時) (レス) id: 728b0d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年10月10日 18時