＞ ページ6
・
それから数メートルの間、平野くんは無言だった。
盗み見る横顔も、すっかり無表情で恐ろしい。
空気を悪くさせたことが心苦しくて、なんとかしたいと考えた結果。
「あの、平野くん。こんな私でも良ければ、友達になってください」
私は、トンデモ発言を繰り出していた。
平野くんは唇の端を横に大きく広げ、にっと笑った。
紫耀「ふふ、こちらこそよろしくね。これでAのハジメテ、1つもらっちゃった」
先程の冷徹な顔からぱっと切り替わった笑顔を見ると、ひょっとして全部計算されてた？平野くんの掌で踊らされてた？なんて思う。
でも、どうだっていい。
微笑む平野くんの顔が見れれば何だっていい。
平野くんが笑うんだったら、私の全てでもあげていい。
紫耀「これからどのくらいもらえるかな〜なんちゃって」
はにかむ平野くんを横目に、『平野くんにだったら、どんなハジメテでもあげたい』と思った。そんな考えが脳裏によぎった自分が、自分でも怖くなる。
これが平野くんの魔力だ。
照れくさくて何も言えず道の先を見つめる。雨は段々強まってきていた。
こんな大雨なのに歩くのがもったいない。なんて初めて思った。
平野くんの隣だと、不思議とハジメテのことが多くなる。
本当に不思議で、もうこれは恋に落ちてしまったんだろう。
少し勇気を出して遊びに誘ってもみてもいいですか？
「平野くん、今度の日曜とかどうかな」
その問いかけに返事は返ってこなかった。
平野くんは、あるアパートの前で足を止めていた。
紫耀「ごめん、ここでちょっと待ってもらっててもいい？」
「うん」
何があったのかは知らされず、差し出される傘をそのまま受け取る。
平野くんは、アパートの階段下で傘をさす女性に向かって一目散に走っていった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷぅ∞(プロフ) - sikiさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです(,,> <,,) (2022年11月3日 23時) (
レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - 好きです。（（真顔））好きです！！！！！！！ (2022年11月3日 8時) (レス) id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2021年5月5日 18時
