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そんなことがあっても、Aさんは日々ブレずに真っ直ぐ仕事に取り組んでいた。
唯一救いだったのは、浮気男と付き合っていたのを会社中に知られていなかったことだ。
表面上は何事も無く、毎日が過ぎた。
ただ、Aさんの笑顔は張り付いたように不自然で、心からの笑顔は戻ってこなかった。
浮気男は会社に勤め続けていて、部署は違うものの、たまに廊下やエレベーターで出くわした。
その度に、掴みかかりそうになる気持ちを必死で抑えていた。
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世間が初雪で大騒ぎしていた1月。
Aさんから空いている会議室に呼び出された。
「支社への異動願いが通ったんだ。まだ内定の段階だけど」
岸「おめでとうございます、で合ってますか」
「合ってるよ。すごーく異動したかったから」
岸「まあ、そっすよね。居づらいすよね」
「あの顔を見なくていいのかと思うとせいせいするね」
岸「でも、俺は寂しいっす」
窓に映る、はらはらと落ちていく雪を眺めながら呟く。
「ありがとう。岸くんはそう言ってくれると思った」
岸「だって一番最初に仲良くなった先輩っすから」
好きだから、と言う勇気まではなくて曖昧に濁した。
「へへ。最初の後輩が岸くんで本当良かったよ。今までありがとう」
岸「こちらこそありがとうございましたですけど、本当に行っちゃうんすね」
感謝の言葉はさよならを想起させる。
急にいなくなってしまう実感が湧いて、胸がざわつく。
「ギリギリまではこっちにいると思うけど4月にはいないね」
やっぱり、ここにいてほしい。
同じ会社じゃなくていいけど、いつでも会えるような距離にいてほしい。
岸「行って欲しくないって言ったら？」
「え？」
岸「冗談です。Aさんが選んだ道を応援します」
本音を言うには違う気がして、優等生ぶった。
「こっち戻ってきたら、また一緒に仕事しようね」
岸「はい」
あの時泣きそうだったAさんの面影はすっかり消えて、反対に、俺が目頭に溜まった涙を堪えるのに精一杯だった。
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ぷぅ∞(プロフ) - sikiさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです(,,> <,,) (2022年11月3日 23時) (
レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - 好きです。（（真顔））好きです！！！！！！！ (2022年11月3日 8時) (レス) id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2021年5月5日 18時
