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固まった私を他所に、永瀬はテーブルの上に投げ出していた私の右手に自分の左手を重ねた。
廉「俺には頼ってもええねんで?」
その言葉を聞き、なんで、と呟いてしまった。
なんで永瀬は言って欲しい言葉を言って欲しいタイミングで言ってくれるんだろう。
前の彼氏にフラれたのも、私が完全に心を許せなくて、彼が頼られないことに不満を持ったからだった。
仕事でも他の人に頼ることは出来なくて、いつも一人でなんでもやってしまう。
誰かに頼ることが出来ないのが、ずっと苦しかった。
さっきの永瀬の言葉がじわじわと響いて、胸の奥で暖かい何かが広がった。この人とだったら幸せになれるかもしれないと、直感的に思った。
廉「Aさん、やっぱり、俺とのこと真剣に考えてくれませんか」
「うん」
自分でも驚くくらい、はっきりと問いに対しての答えが出た。
何も悩まなくても、永瀬について行けばいいと神様が言ってる気がした。
ごくっと手元の水を一口飲んで永瀬に向き合う。
「私で良ければお付き合いしてください」
廉「え!?」
私の突然の告白に、永瀬は座っていた椅子から今にも転げ落ちそうだ。
廉「まじっすか」
「まじです」
廉「なんで」
「なんでも」
廉「考えられへん」
動揺した永瀬は、頭をぐしゃぐしゃと掻いた。そのまま無言になったので、返事を催促する。
「で、私の告白に対する返事は?」
廉「もちろん、イエスで!」
永瀬が大きめの声で言うもんだから、周りに聞こえてそうで恥ずかしい。
「ありがとう。ふつつか者で、わがままで、愛想なくて面倒だと思いますが、よろしくお願いします」
廉「こちらこそ、年下で頼りない所もあると思うけど、世界で一番Aさんのこと幸せにするんでよろしくお願いします」
閉店間近の定食屋で、私達は二人ともお辞儀をした。それが場に似つかなくて、二人で笑った。
いつまでもこの幸せが続きますように、この星に願って。
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ぷぅ∞(プロフ) - sikiさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです(,,> <,,) (2022年11月3日 23時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - 好きです。((真顔))好きです!!!!!!! (2022年11月3日 8時) (レス) id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷぅ∞ | 作成日時:2021年5月5日 18時