＞ ページ32
・
そこに私の生姜焼き定食と、永瀬のカツ丼大盛りが運ばれてきた。
二人ともいただきますと手を合わせ、しばし沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは永瀬だった。
廉「あれから、俺のこと考えてくれました？」
「ちょっとは」
本当はちょっとどころじゃないことに気づくと、恥ずかしくなって勝手に定食の箸が進む。
廉「例えば？」
永瀬はおとなしくなった私の様子が面白いのか、茶化したように言った。
「言わないよ」
廉「なんでっすか」
口を尖らせて拗ねた顔をしても、言わないものは言わない。
「恥ずかしいから」
廉「えー言ってくださいよ聞きたい」
「やだよ」
私をいじる時の永瀬がイキイキとしていて、そこもうざったい。勝手に赤らむ顔を片手で抑えて、永瀬を睨む。
廉「Aさんって照れた時こういう顔するんや」
「何、どんな顔」
照れたつもりは無かったけど、永瀬には照れたように見えたらしい。永瀬は頬杖をつきながら、にっと笑った。
廉「教えへんけど、超可愛い」
「ばか」
ほんとにこういうとこ。だから、軽いと思われんのよ。心の中で悪態をついたが、永瀬は私に構わず話を進める。
廉「なぁ、Aさんって今までどんな人と付き合ってきたん？」
「それ聞いて何かの足しになる？」
廉「ならんと思うけど、Aさんの好きなタイプは参考にする」
参考にする、って言われてもタイプバラバラだし。ここは意地悪してみよう。
「好きなタイプは永瀬と真反対の人」
私がそう言うと、永瀬は一瞬目を見開いた。でも、すぐにいつもの永瀬の表情に戻った。
廉「えー、嘘や。そんな人絶対にいいひんもん」
「って言っても諦めないでしょ」
たちまち永瀬に嘘は見抜かれ、ため息をつかれたからネタばらし。
廉「なんや、引っかけか。Aさん性格悪い。諦めるわけないやん」
永瀬が言う通り、私は性格悪いしひねくれている。だって、こんなにも好意を伝えてくれる永瀬に何も返せてない。
「だったら、聞く必要ないよ」
でも、永瀬も永瀬でひねくれている。だって、こんなに私が冷たくあしらっても、好きでいてくれるんだから。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷぅ∞(プロフ) - sikiさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです(,,> <,,) (2022年11月3日 23時) (
レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - 好きです。（（真顔））好きです！！！！！！！ (2022年11月3日 8時) (レス) id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2021年5月5日 18時
