＞ ページ26
・
少しの静寂が訪れたベッドの上で、私は先程のことを謝る決心をした。
「というか、私の方こそごめん」
岸「なんでAが謝るの」
私が謝罪の言葉を述べると、岸は不思議そうな顔をした。
「本当は寝てなかったの。寝たフリしてただけ。覚悟してた、って言ったけど、直前に怖くなって岸から逃げた。ごめん」
申し訳なさから、語尾になるにつれ声量が小さくなる。言い終わると、岸の真っ直ぐな視線を感じた。
岸に非難されるんじゃないか、と少し怖い。
岸「それは、仕方ないだろ。俺もAとの関係変えるの怖かったし」
思ったより優しいフォローに心が温まる。岸の人へ気遣いができるところ、さすがだよね。
と感心していると、岸の顔が急に赤くなる。
岸「てことは、俺の独り言とか聞こえてた？」
独り言って、あれだよね。可愛いとかどうとか。
「うん、バッチリ聞こえてた」
岸「俺、超恥ずかしいやつじゃん」
照れて手で顔を覆う岸の仕草が、可愛く見える。さらに、両手を顔の前で合わせた。
岸「それこそ忘れて。本当、それだけはお願いします！」
「嬉しかったから、忘れたくない」
私が率直な感想を言うと、岸は驚いた顔でこちらを見た。
岸「嬉しかった、の？」
「うん」
岸「きもい、とかじゃなくて？」
「違うよ」
私がそう言うと、岸は突然何事も無かったかのようにベッドに潜る準備を始めた。
岸「そか。うん、なら良いや。もう寝よ。あ、もしかして俺と同じベッド嫌だったりする？」
「だから、今更そんなこと言わない」
岸「いや、あるかもしれないじゃん。酔いが覚めて、急に俺がキモく見えるとか」
「無いよ」
岸は何に気を使っているのか分からないほどに、いろいろ質問してくる。
そんなに自分に自信がないのかな？顔はイケメンなのに？三枚目キャラだから？
不思議に思いつつ、隣に並んだ岸の横顔を眺める。
岸「そか」
ぽつりと言った岸のまぶたは、そっと閉じられた。
まだ目が冴えている私は、この状況で岸に先に寝られると一人ぼっちになる、と咄嗟に思い、言葉を発した。
「もう、寝るの？」
自分でもこんな甘えたな台詞、言うと思わなかった。
岸も驚いて顔をこちらに向ける。
岸「え？」
「いや、眠れないなーと思ったから」
恥ずかしさから、慌てて弁明をした。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷぅ∞(プロフ) - sikiさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです(,,> <,,) (2022年11月3日 23時) (
レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - 好きです。（（真顔））好きです！！！！！！！ (2022年11月3日 8時) (レス) id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2021年5月5日 18時
