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健人の泣き顔も晴れたところで次のドラマを見ようと、リモコンに手を伸ばした瞬間、健人が私に向かって倒れ込んできた。
ぎりぎりその重さに耐え切り、受け止めると健人はか弱い声を出した。
健「昔、俺が泣き虫健人だった時は、Aが背中をさすって慰めてくれてたよね」
「そうだったね」
健「それやって、お願い」
「泣き止んでたよね？」
健「それやってくれなきゃ、また泣き虫健人になっちゃうからね」
私の肩に置いていた頭を起こし、プクッと頬を膨らませた健人は、昔の駄々をこねている時と同じだ。
「はいはい」
面倒だけど、背中をさすってあげる。昔と比べると、随分大きくなったな。
健「頭も撫で撫でして」
要求が多い駄々っ子だ。きちんと応えてあげると、嬉しいのか体を擦り寄せてくる。お前は猫か、とつっこみたくなる。
終いには、私をぎゅっと力強く抱き締めて離さなくなってしまった。
「そろそろ良い？」
健「だめ、まだ足りない」
「この体勢疲れてきちゃったし」
健「やだ」
「もう。どうしたの、健人」
健「Aは俺の。俺はAのものだよ」
「うん。分かったから」
健「分かってない。今日、学校でAが男にボディタッチされてるの見ちゃったもん。Aに触っても良いのは俺だけだもん」
そんなことあったっけ？言われても思い出せないけど、健人にとっては大事らしい。
「うん。じゃあ今度から気をつけるね」
健「もう、俺無理かも」
「ん？」
健「Aを早く彼女にしたい。他の男に取られるんじゃないか、って毎日ヒヤヒヤしてる」
「狙われてないから。安心して」
健「モテてること、気づいてないだけだよ」
「健人は敏感になりすぎて、違うことまでそういう風に捉えちゃうんだよ」
健「Aのバカ」
反論すると、健人は口を横いっぱいに引き伸ばして、いーっと対抗して拗ねてしまった。本当に子供に戻ったみたい。
「他の人と付き合うのは今のところ無いから。健人より大事な人とか考えられないし」
今のありのままの気持ちを伝えると、健人はばっとこちらを向いた。
健「え？何それ、新手の告白？」
「告白じゃない」
健「それ、告白だって！好きだよ、と同義だよ」
「だから、違うってば」
健人の勘違いにはほとほと呆れる。
健「照れちゃって、可愛いな。俺のこと好きだっていい加減認めなよ」
この後何度否定しても、健人は私の反論に耳を貸してくれなかった。
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Side story at school.3→←Case.7（追記有）
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年8月19日 13時
