Case.7（追記有） ページ19
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今日は、高校のチアダンス部が全米制覇を目指す金曜10時のドラマを観ている。
部員や顧問が奮闘する姿に感動して、私は毎回号泣している。
今回は、主人公の土屋太鳳ちゃんが怪我をして部活に参加出来なくなるトラブルがメインの話だ。
太鳳ちゃんが部活にまた参加するシーン、顧問の太郎先生を部員が囲むシーン、最後の東京駅の前で部員が並ぶシーン。
どれも感動して、ぐすぐすと泣いてしまった。こういう青春物語は本当に弱いんだよなぁ。
……まぁ、それは私に限らず、隣の人もそうなんですけど。
「ねぇ、健人泣きすぎ」
健「それは、Aもじゃん」
「泣き虫健人」
健「その呼び方止めてって言ってるじゃん」
健人は昔から何かある度に泣くから、泣き虫健人、と散々からかってきた。
健人がぐずると甘えん坊みたいになって、それはそれで可愛らしいので、別に良いかなと思っている。
健「ティッシュ取って」
「はい」
ただ、中高生になってからグズグズの健人はレア物になったので、いい機会だと思い、スマホのカメラを起動する。
カシャッと音が出て、健人に泣き顔を撮影していたことがバレてしまった。
健「何撮ってんの」
ちょっとお怒りのご様子だ。
「泣いてる健人珍しいから、写真に収めとかないとな、と思って」
健「止めてよ、かっこ悪いとこなんだから」
「健人の泣き顔、可愛くて好きだけどな」
思ったままの感情を言ってみたけど、言ってから後悔した。健人が信じられないという顔で私を見ていたから。
健「好き、なの？俺の泣き顔」
「ま、うん。それだけね」
健「えへへ、そっかぁ。なら、しょうがないか。いっぱい撮ってもいいよ」
先程の泣き顔から一転、ニヤニヤした顔で近づいてきたけど、これは私の望んでいる状況じゃない。
というか、私が好きって言ったら、健人は何でもしてくれるのか？それは怖い気がするな、と思いつつ、上手く使えば勝手が良いなと少し企んだ。
でも、実際にこういう技を使えるのは恋愛上級者で、私はできないので、健人を手の平で転がすことは出来ない、と諦めるのだった。
しばらくぼーっとしていると、健人が不思議そうな顔をして覗き込んできた。
健「ね、撮らないの？」
「撮らないよ。だって、健人もう泣いてないし」
健「えー、心の中で泣いてるよ？」
「いやいや、撮らないから」
健「分かった」
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年8月19日 13時
