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健「さっきのドラマ見て考えたんだけど、下の名前で呼びあいっこゲームしよ？」
「ん？どういうゲーム？」
健「お互いに下の名前を交互に呼びあって、先に照れた方が負けっていうルール」
「私が勝つ自信しかない」
いつも呼びすての私たちが、このゲームをやって楽しいのか分からない。
内心やりたくないけど、やっと楽しそうな顔になった健人に、やりたくないとは言えない。
健「勝負事だから負けられないよ。じゃあ、俺からね」
健人は座っている足を組み替えて、右腕を私の背中に回した。
健「A」
健人特有の甘い声、普通の女子が聞いたら照れるんだろうけど、百戦錬磨の私はこれくらいじゃ微動だにしない。
「健人」
まずは、いつも通り目を見て呼ぶ。健人は一度下を向いた。
健「A♡」
甘えた声で、名前の一音一音を大切にするように呼ばれた。左側に頭を傾けて、うるうるした目で見つめられると、その瞳に弱い私は健人を真っすぐ見られない。
間髪入れず、健人の名前を呼ぶ。
「けーんと」
ちょっとぶりっ子気味に言うと、健人は左手で口元を押さえ、目線が外された。
健「何それ、反則。可愛い」
「あ、照れたでしょ？」
健「俺のこと、良く見てから言ってほしいね。照れてないよ」
今の顔は至って真剣だけど、さっきの口元を押さえる仕草は照れたときにやるやつだった。それでも健人は引き下がらず、ゲームは続けられた。
健「もう、大好きだよ、A」
健人にストレートに好き、と言われるのは久々で、思わず照れそうになったけど、なんとか表情筋をコントロールした。
ここで、とっておきの切り札を出す。
「健人、今度デートしよ？」
健「へ？」
思った通り、健人は口をぽかんと開け信じられないという表情をした。
「ねぇ、健人」
数秒動かなかったので声をかけると、一気に口元が緩んだ。
健「もう本当やばい。愛しさが溢れすぎて、俺の恋心のダムが決壊するんだけど」
「はい、照れた。私の勝ちー」
健「正直、途中から勝ち負けどうでも良くなっちゃった。Aに呼ばれる度にキュンキュンした」
「意外に続いたね」
健「俺、負けず嫌いだから。それよりも、デート！本気で言ってる？」
「半分本気で半分嘘」
健「半分本気なら、デートしよ！」
「1回くらいならいいよ」
健「やった」
これで罪滅ぼしになってたらいいな、なんて考える私は罪な女？だったりして(笑)
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年8月19日 13時
