Introduction5 ページ5
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アラーム音が鳴っている。
やっぱり夢だったんだ。良かった。
パッと目を開けると目の前に聡の顔があった。
「わっ！」
聡「ごめん、驚かせちゃった？」
「夢から覚めてもまた夢の中だ」
聡「何言ってるの、Aさん、ここは現実だよ」
薄々勘づいてたけど、やっぱり現実か。先が思いやられる。
マリ「早く起きて、準備が間に合わないよ」
マリに急かされて、起きて顔を洗う。
リビングに行くといつも通り朝食が用意されていて、テレビを見ながら食べる。
朝のニュース番組はどれも既に知っている情報で、タイムリープしたことを実感する。
そういえば、勝利くん見てないな、とリビングを見回すとソファーでゆっくりくつろいでいた。
両親は何事もないようにしているので、天使は他の人には見えないシステムなのね、と理解する。
部屋に戻ると、新品の制服がハンガーにかけられていて、こんなにピッカピカだったんだと懐かしんだ。
マリ「Aちゃん、ぼーっとしてる暇ないから！早くここ座って！」
マリは少し怒って、私を勉強机に座らせる。机の上には見たことのない化粧品が並んでいた。
マリ「とりあえず、髪はポニーテールにするから、前髪はそこにあるピンで留めて」
マリの的確な指示と、素早い動作によって30分程度で私の身だしなみは整えられた。
マリ「はいできた、Aちゃん、超可愛い」
聡「これで安心して学校行けるね」
鏡の中の私は別人だった。
鏡を見ている暇もなく、マリと聡に「早く行って」と家を追い出される。
「行ってきます」
高校デビュー？と母に散々煽られて、両親より先に家を出る。
3年前は高校に向かっている途中で衣梨奈に声をかけられて、一緒のクラスだね、なんて喜んで、友達になろう、と言い合ったんだっけ。
確か、この辺りで声をかけられたような……？
心当たりのある場所で少し立ち止まってみるけれど、近くを歩いている人はサラリーマンや知らない高校生で、衣梨奈の姿は見えない。
もしかして、と思い時計を見ると、決められた登校時間まであと15分。
身支度に時間がかかった分、3年前と通学時間が変わって、衣梨奈に会えないんだ。
すごく心細い気持ちを抱えて小走りで高校へ向かった。
高校生活をやり直すって、過去を知ってる分楽かと思ったけど、過去はすぐに変わる。
一からのスタートだ。
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年5月5日 11時
