Afterschool5 ページ24
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家の最寄りの駅に着いた。
「今日は本当にありがとう。送ってもらうのはここまでで大丈夫」
さすがに家まで付いてきてもらうのは心苦しい。
風「やだ。昨日、ちゃんと家の前まで送れなかったの後悔してるから、今日は家の前まで行く」
なんで後悔？と思ったけど、それが風磨くんの優しさであり、心配性なところなんだろう。
「じゃあ、お願いします」
風「それでよろしい」
駅に着いた時に離れた手が、歩き出すと自然に繋がれる。こんなとこ他の人に見られたら、付き合ってるって思われちゃうのかな。考えたら恥ずかしさと怖さが襲ってきた。
ここ数日のあれこれは、恋愛初心者が体験するには刺激が強すぎる。
相変わらず、風磨くんと私の間には会話がないまま、私の家の前まで来てしまった。
「ここが家。送ってくれてありがとう」
風「ん」
「風磨くん？」
握られた手は一向に離してくれなくて、風磨くんの顔を下から覗きこむ。隣の風磨くんは私と目線を合わせずに正面を向いていた。
風「今日、中島と教室で笑って話してるの見て、いらっとした」
「そうだったんだ」
風「中島のこと好きなの？」
風磨くんと目線が合う。鼓動が早くなる。
「好きとか好きじゃないとかの前に、中島くんのことそんなに知らないし」
やり直す前の私は、中島くん推しだったけど、今ではもうどちらが好きかなんて分からない。
風「ふーん、じゃあ俺のことたくさん知って、俺のこと好きになってよ。中島なんかにとられたくない」
風磨くんの真剣な目線が恥ずかしくてすぐに逸らす。
「あの、風磨くんとは友達になりたいけど、好きになるかとかは分かんない」
風「うん、分かってる。さっきのはわがまま。中島に嫉妬して、感情がぶれぶれなの、今。変なこと言った。ごめん、忘れて？」
忘れることなんかできない、と思った。
だけど風磨くんは失敗した、と思っているみたいで、自分の頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
「分かった。じゃあまた明日」
そう言って家の中に入ろうとすると、手が離された代わりに、後ろから抱き締められた。
風「やっぱり忘れちゃだめ。俺のことたくさん考えて」
耳元でそう囁かれた。一気に心臓がバクバクし始めた。
「うん」
それしか言えなかった。それでも風磨くんは満足したようで、
風「また明日」
と言い、駅までの道を戻っていった。
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年5月5日 11時
