Get along with Kento2 ページ17
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健「俺に捕まって？」
生物実験室を出たところで、そう言ってくれた中島くん。
お腹の痛さから腰を屈めないと歩けない私は、その優しさに甘えることにした。
中島くんの二の腕辺りを掴んで階段をゆっくりと降りる。少し体がふらつく感じがする。
階段の踊り場で腹痛が限界を迎え、立っていられなくなった。立ち上がろうとしても、力が出ない。
中島くんはしゃがんで私の背中に手を回した。
健「Aさん、俺の首に手回して」
「ごめん」
私はお姫さま抱っこをしてくれるのだと気づき、咄嗟に謝った。
健「大丈夫だよ、じゃあ持ち上げるよ」
ふわっと体が持ち上がると、中島くんの体温が直接伝わってきた。小さい頃に親にしてもらったような安心感がある。
きっと、今の私はほっぺたが赤いんだろう。
でも、さっき中島くんに顔白いよ、って言われたから丁度良かった。
どうでもいいことばかりが頭に浮かんできて、お腹の痛みも立っている時よりましになってきた。
保健室の前に着いた。
健「すみません、ここ開けてもらえませんか」
ドアの前で中島くんがそう言うと、中から保健室の先生が出てきて、あら、どうしたの、と慌てている。
この光景どこかで見たな。
そういえば、丁度3年前、高校生活をやり直す前の体育祭の時と一緒だ。
中島くんは空いているベッドにそっと下ろしてくれた。
「ありがとう、中島くん」
健「お大事にね、Aさん」
言い終わると同時に頭をポンポンと撫でられる。中島くんの必殺技だ。
中島くんはさっと振り返り、保健室のドアに向かう。
健「じゃあ教室戻ります。あとはよろしくお願いします」
保健室の先生に言った、その声が聞こえた頃には腹痛がまた襲ってきていた。
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1時間目が終了したことをチャイムで知る。
腹痛はまだ寝ないと治りそうにない。2時間目も休むことを心に決めると、中島くんが現れた。
健「生物の教科書、クラスのAさんの机の上に置いておくね」
「ありがとう」
中島くんはなんて優しい人なのだろう。
健「体調治った？」
「まだ駄目そうだから2時間目も休む。先生に伝えてほしいな」
健「了解！早く良くなるといいね」
「ありがとう」
健「じゃあ、あたあとでね」
にこっと笑う笑顔はとても素敵で、
中島くんは王子様だ、と本気で思うんだ。
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作者名：ぷぅ∞ | 作成日時：2018年5月5日 11時
