Episode179 兵隊さんの言うことには ページ44
軍人二人が馬車に乗って吉良邸を後にしてしばらくすると、ヒロトさんとリュウジさんが会議室に私とマサキ、そしてついでに、とのことで晴矢さんと風介さんを呼び出して、先程まで開かれていた軍人との会議の内容を教えてくれた。
秘密事項である、という前置きをしてから。
宮廷の腐敗、戦争に伴う国内経済の崩壊、神童家による宗教弾圧、そして、霧野家王妃の死――
蘭様のお母様の死についてはさっきあきおに教えてもらったが、まさかここまで国がめちゃくちゃになっているとは思わなかった。
ヒロトさんのいつもより一層青白い肌が、歪んで均衡を失い始めた世情を物語っている。
｢いよいよまずいな……いつ終わるんだろ……｣
沈んで低い声が隣から聞こえてくる。
マサキに目をやると、声相応にその表情も暗い影を落としている。
この戦争はいつ終わるのか。
紳士的なヒロトさん、しっかり者のリュウジさん、いつも喧嘩ばかりだけど賑やかな晴矢さんや風介さん。そして、この家。
すっかり馴染んでほとんど自分の家と同じように思えるくらいには時を経て、次第に頭に浮かぶのは、この生活は終わるのか、ということ。
現状、一寸先は闇。
こんな中で終わりなど見えるはずがない。
皆一様に表情を曇らせる中、晴矢さんがフンと鼻を鳴らして、そばにあったチェスの上のポーンを弾いた。
｢こんな具合じゃ、どさくさに紛れて革命でも起きちまいそうだな｣
倒れてころころと転がったポーンが軽い音を立てて床に落ちる。
悪戯なつり目が脳裏に蘇って、はっと息を飲んだ。
――革命を起こすんだよ――
――国民を守るためにこの国を変えるんだよ――
そう、そうだ。革命。
やはりこの戦争を終わらせるには、私が変えるしかないのだ。
床に落ちて、風介さんの足元に転がったポーンを彼は拾い上げて、元々置いてあった場所よりひとつ前のマスに置いた。
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愛瑠(プロフ) - 豪炎寺晴矢さん» ありがとうございます！この時期は人生最大の多忙を極めているので更新できませんが、春になったらたくさん更新するつもりです。見捨てず暖かい目で見守ってくださると幸いです。 (2018年12月22日 10時) (
レス) id: cf3c21e846 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺晴矢 - 楽しく読んでいます!!これからも頑張ってください! (2018年12月1日 20時) (レス) id: 0d4b0ee8a9 (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - 詩子さん» 中世〜近世ヨーロッパを意識して書いているので、基本的な歴史の流れなどに矛盾がなるべくないようにやっております。光栄なお言葉ありがとうございます、遅い更新ですが頑張ります！ (2018年9月28日 7時) (レス) id: cf3c21e846 (このIDを非表示/違反報告)
詩子(プロフ) - 私学校で世界史を選択してるんですけどすっごく世界史の中の話みたいで面白いです！これからも頑張ってくださいね。応援してます！ (2018年9月27日 23時) (レス) id: 77572e4f5d (このIDを非表示/違反報告)
とくにないです(愛瑠)(プロフ) - カナメさん» そう言っていただけると本当に励みになります！ありがとうございます！！ (2017年12月19日 16時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛瑠 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/baraannzu1/
作成日時：2017年7月17日 7時
