Episode175 王女の決断 ページ40
なんてあっさりした人。
今の状況に少しも固執していない。
でも、今までそうしてずっと生きてきたはずなのに、そこまですぐに気持ちを入れ替えて革命に身を捧げようと思えるだろうか。
「グズグズすんな、早く決めろよ。俺にもお前にも、もちろんこの国にも時間は残されてねえんだよ」
吉良ヒロトに怪しまれるだろ、一応トイレに行ってる設定なんだから。
さらっと彼が続ける。
それって結構まずいよね。
早く決断してもらってこの場を去りたいという思いをひしひしと感じながら、考える。
ううん、考えることなんかもうない。
私はとっくに腹を決めている。
ヒロトさんの目をみて、戦うと宣言したあの時から、既に答えは決まっていたのだ。
戦うということは、抗うということ。
抗うということは、変えるということ。
そして、救うのだ。
お兄さまを、蘭様を、京介を、みんなを。
『――力を、貸して。革命を起こしましょう』
口に出せば、パワーがみなぎるように体の底から何かが湧き上がってきて、なんだかこのまま浮いてしまいそうな感覚に襲われる。
思ったよりも少しだけ震えてしまった私の声に、彼は交渉成立だ、と呟いてニヤリとほくそ笑むと、私の手を取り手の甲に口付けた。
「
三白眼が愉悦の表情で私を覗き込む。
私の手から男性にしては妖艶すぎる唇を離すと、また真剣な顔つきになって、
「今この瞬間から俺はお前の騎士となる。だが今はまだ誰にも言うな。これは秘密協定だ。いいな？俺のことはなんとでも呼べばいい」
『……わかった、あきお』
これは秘密。
マサキにも、ヒロトさんにも言ってはいけない。
大好きなマサキに隠し事をするのは心が痛いけれど、内緒なのは今だけだから。
あきおがにゅっと立ち上がり、だるそうに体を伸ばして欠伸をする。
仮にも騎士って言うなら守る相手の目の前でとる態度じゃないよね。
手の甲にキスした時はかっこよかったのに……
ちょっと不貞腐れていると、じゃ、俺は行くからなと頭を雑にぽんぽんと撫でられた。
――って、
『もう行くの！？』
「ああ？当たり前だろ。さっきも言ったけど俺今トイレってことで会議から抜け出してきたんだからな。心配すんな、また来る」
それだけ言い終わると、私の制止をぜんぶガン無視して足早に廊下の奥へ消えていった。
……ヒロトさんとの約束、破っちゃったな。
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愛瑠(プロフ) - 豪炎寺晴矢さん» ありがとうございます！この時期は人生最大の多忙を極めているので更新できませんが、春になったらたくさん更新するつもりです。見捨てず暖かい目で見守ってくださると幸いです。 (2018年12月22日 10時) (
レス) id: cf3c21e846 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺晴矢 - 楽しく読んでいます!!これからも頑張ってください! (2018年12月1日 20時) (レス) id: 0d4b0ee8a9 (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - 詩子さん» 中世〜近世ヨーロッパを意識して書いているので、基本的な歴史の流れなどに矛盾がなるべくないようにやっております。光栄なお言葉ありがとうございます、遅い更新ですが頑張ります！ (2018年9月28日 7時) (レス) id: cf3c21e846 (このIDを非表示/違反報告)
詩子(プロフ) - 私学校で世界史を選択してるんですけどすっごく世界史の中の話みたいで面白いです！これからも頑張ってくださいね。応援してます！ (2018年9月27日 23時) (レス) id: 77572e4f5d (このIDを非表示/違反報告)
とくにないです(愛瑠)(プロフ) - カナメさん» そう言っていただけると本当に励みになります！ありがとうございます！！ (2017年12月19日 16時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛瑠 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/baraannzu1/
作成日時：2017年7月17日 7時
