第258話 ページ9
「……姫様の、言う通りじゃ」
小さな足音と共に前に進み出たのは、幼い女王ララヤだった。
彼女はオズロックの目の前まで歩み出て、立ち止まり、彼から目を離さないまま口を開けた。
「……ミネル」
「はっ」
「ファラムオービアスの罪はどうなるのじゃ」
「……は……」
「ファラムオービアスは、オズロックの星を攻め滅ぼした。その罪はどのように問うのじゃ」
「そ、それは、過去の……ことで……」
どこか後ろめたそうに答えるミネルとは逆に、ララヤはおおらかに微笑み、両手を広げる。
「そうじゃ。過去の事じゃ。その事も、この事も！……だから、おあいこってことにすればいいのじゃ！」
小さな女王の寛大な態度に、オズロックも私も、みんなが呆気に取られ言葉を失う。
沈黙の中、先ほどとは一転申し訳なさに眉を下げ、彼女は続ける。
「……オズロックよ、すまなかった。我々の祖先がやってしまったこと、なんと謝っていいのかわからぬ。……しかし、過去の事は忘れて、みんなで未来に向かって歩んでいかぬか」
希望に溢れた彼女の言葉。
私はそれに、気高さを確かに感じた。
「このファラムオービアスは大きな国じゃ。大きな国をまとめるのは、大変なのじゃ。……オズロックよ、お前も手伝え！」
「んなっ……くだらぬことを……」
「オズロック」
今度は天馬が、彼に歩み寄る。
そして手を差し伸べて、太陽のように微笑んだ。
「さあ、行こうよ。未来へ！」
ギャラリーから歓声が沸き上がる。
――やっぱり、一人なんかじゃない。
こうやって手を差し伸べてくれる人は、必ず周りにいるはずなのだ。
孤独だ一人だなどと抜かす前に、少しだけ顔を上げてみればいいだけだったのだ。
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名無しの太郎 - 素敵です！オズロック様に堕ちたらどうなってたのか気になります…！！ (2019年12月5日 22時) (
レス) id: d3b3bddaab (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - ルインさん» 返信遅れて申し訳ありません！はい、改めてよろしくお願いしますね！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
ルイン(プロフ) - こんにちは、【キリサメ】から変えました。【ルイン】です！これからは、この名前で宜しくお願い致します。 (2018年7月8日 13時) (レス) id: a5db77accc (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - 歌紅羅さん» ありがとうございます！しばらく絶望的な更新スピードが続きますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。 (2018年7月6日 20時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
歌紅羅(プロフ) - この作品、最高ですね。 これからも頑張ってください。 応援してますよ！ (2018年4月23日 14時) (レス) id: e988874bd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とくにないです(愛瑠) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/baraannzu1/
作成日時：2017年5月7日 16時
