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それからどれくらいの時間、動き回っていただろうか。
髪が水浸しになり、服が汚れるのもいとわずに、いい加減疲れ切った私たちは思いっきり雷門中のグラウンドに寝転んだ。
息をするたびに胸が上下する。酸素を求めて口を開けると、だいぶ弱くなってきた霧状の雨が口に入ってきて、運動後の口の渇きに潤いを与えてくれるようだ。
「おいおい、Aまで地面に寝転ぶなんて珍しいじゃねえか」
雨のせいだろうか、いつもの黒いヘアバンドを外した宗正が隣で笑う。
さらに宗正の隣にいた京介もさりげなく肩をすくめて笑ったのが、なんとなくうれしくて、なんだかむずむずした。
『そうね……あんまりにも、雨の日のサッカーが楽しかったから』
雨はすでに、私たちがサッカーをし始めたときに比べるとだいぶ弱くなっていて、もう少しすれば雨雲もどこかへ行って晴れてくれるだろう。
もう少し遅く家を出ていれば、こうして泥だらけでサッカーすることもなかったのだと思うと、少し得をしたような気分になった。
「――なあ、A。帰るんだよな、月に」
ふいに、宗正とは反対側の隣にいた拓人が上体を起こし、水滴の付いた灰色の髪を揺らした。
頬を伝う雨水がまるで涙のようだ。
『なんで、』
「俺たちみんな、同じ夢を見たんだ。Aが中秋の名月の日に、月に帰る夢。それから、周りの人が次々とAのことを忘れていってしまって……空野からこの間事情を聞いて、すべて合点がいった」
『……そう……それじゃあ、記憶のことも……』
「ああ。今日、俺たちはAのことを忘れてしまうんだよな……？」
なんだ、知ってたのね。葵もわざわざ言わなくていいのに。
彼ら自身が私に会いたいと思ってくれたのはもちろんあると思うが、きっと葵のことだから、"Aちゃんに会いに行って"みたいなことを彼らに言ったのだろう。葵が常に私のためを思って行動してくれているのが伝わってきて、やはりむず痒い気持ちになるのだった。
顔を上げて見るまでもなく、彼らが暗い顔をしているのがわかって、明確な肯定の言葉を発することができなかった。
「……やっぱり、そうなんだな」
雨が止んだ。代わりに、重い沈黙が下りた。
忘れたくないと、そう思ってくれているのだろうか。
「忘れたく、ないな」
ぽつり、京介の低い声が沈黙を破った。
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名無しの太郎 - 素敵です！オズロック様に堕ちたらどうなってたのか気になります…！！ (2019年12月5日 22時) (
レス) id: d3b3bddaab (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - ルインさん» 返信遅れて申し訳ありません！はい、改めてよろしくお願いしますね！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
ルイン(プロフ) - こんにちは、【キリサメ】から変えました。【ルイン】です！これからは、この名前で宜しくお願い致します。 (2018年7月8日 13時) (レス) id: a5db77accc (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - 歌紅羅さん» ありがとうございます！しばらく絶望的な更新スピードが続きますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。 (2018年7月6日 20時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
歌紅羅(プロフ) - この作品、最高ですね。 これからも頑張ってください。 応援してますよ！ (2018年4月23日 14時) (レス) id: e988874bd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とくにないです(愛瑠) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/baraannzu1/
作成日時：2017年5月7日 16時
