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隼人の家から少し離れたところに位置するこの花園は、わりかし有名な観光地であるらしく、平日の昼間でも意外に人が大勢いた。
特に男女で来ている人が多いみたいだ。
私たちアースイレブンは休暇として一週間与えられているから平日の昼間に出かけるのも可能であるが、あちらこちらにいる恋仲の男女や楽しそうにはしゃいでいる女の子数人はなぜここにいるのだろうか。
隼人に訊いてみると、今日は複数の高校が文化祭の振り替え休日らしい。
文化祭が何かよくわからないけれど。
文化祭ってなあに？とまた尋ねると、何も言わずに私の頭を撫でて、どこか悲しげな色をその顔に宿しながら微笑んだ。
花が咲き乱れる遊歩道は、初秋だというのにまるで春だ。
息を吸うたびに体に染み渡る生の香りが地球への羨望を呼び起こす。
平安の時代から変わらない花の美しさが私は愛おしくてたまらないのだ。
『あの頃の花は、こんな風に施設として集められたものじゃなくてもその辺にたくさん咲いてたのにね』
「ああ……今は空気も淀んで道路とかも敷かれたせいでめったに見れないけどな」
今の人間は昔を懐かしむ。
昔はよかった、でも今は、と。
だけど月の都から地球を眺めつづけていた私にとってはそれもまた一つの変化であり、尊いものだと思う。
変化を持たない不老不死にとって、変わりゆく地球はこれ以上ないほどに美しい。
そんな他愛もない会話をしながら二人で花の中をのんびり歩いていると、背後から聞きなれた声が聞こえた。
「ん？あれって瞬木じゃねえか？」
振り向くと、鉄角、久坂、市川座名九郎、皆帆、真名部の五人がいた。
どう見てもこの場所にミスマッチなメンバーに少し笑える。
「デートかな？そっちは彼女さん？」
ああ、なるほど。
彼らは既に私のことを忘れているわけね。
さすがに三回目ともなればもはや動じなくなってくるが、隣に立っている隼人はまだ慣れないらしく、呆然としてしまっている。
「……お前ら、それ本気で言ってんのか……」
底冷えするような唸り声が、彼の怒りを私に知らせる。
これ以上はまずい。
『ごめんなさい、なんでもないわ。……そう、私が隼人の彼女よ。Aっていうの。よろしくね。お察しの通り今はデート中だから、また後日。じゃあね』
よろしく、また後日、なんて真っ赤な嘘。
そんな"後日"は一生来ない。
簡単に口から出る己の嘘に反吐が出そうになりながらも、きょとんとする彼らを睨みつける隼人を引っ張った。
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名無しの太郎 - 素敵です！オズロック様に堕ちたらどうなってたのか気になります…！！ (2019年12月5日 22時) (
レス) id: d3b3bddaab (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - ルインさん» 返信遅れて申し訳ありません！はい、改めてよろしくお願いしますね！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
ルイン(プロフ) - こんにちは、【キリサメ】から変えました。【ルイン】です！これからは、この名前で宜しくお願い致します。 (2018年7月8日 13時) (レス) id: a5db77accc (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - 歌紅羅さん» ありがとうございます！しばらく絶望的な更新スピードが続きますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。 (2018年7月6日 20時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
歌紅羅(プロフ) - この作品、最高ですね。 これからも頑張ってください。 応援してますよ！ (2018年4月23日 14時) (レス) id: e988874bd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とくにないです(愛瑠) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/baraannzu1/
作成日時：2017年5月7日 16時
