第276話 ページ27
「あ、お茶しかない。お茶でいいか？」
『え、ええ。大丈夫……』
冷蔵庫を覗いてペットボトルを取り出した隼人は、楽そうなだらしない服装をしてあくびをする。
そんな彼から少し離れたテーブルのそばに座り、私は異様な程に固まっていた。
――どうしてこうなった……？
どうして私が、隼人の家に……
それは、ついさっきの事だった。
地球には帰る場所など当然存在しない私がどこに帰ればいいのかと声を上げたところ、葵やさくら、好葉までもが私を家に招き入れてくれようとした。
さらに彼女らのみならず、拓人は家が広く客室も多くある事を理由に私を誘い始め、井吹に至ってはお菓子たくさんあるから来いよと食べ物で釣ろうとし始める始末。
その上鬼道さんや豪炎寺さんも好意で私を家に置いてくれようとし、もはや収拾がつかなくなってきた時。
隼人が、こう言い出したのだ。
“こいつの恋人である俺が預かる。それでいいだろ、ほら散れ散れ。解散だ。それでいいですよね、円堂さん”
急に言い始めた彼の目は心なしかギラついていて、野生動物のような鋭さに押されたのか円堂さんも頷くしかなく、自然とその場は解散となった。
そういうわけで、今私は隼人の家にいる。
これからしばらく同じ屋根の下に寝泊まりするなんて、心臓が爆発しそうだ。
「あのさ」
『ひゃい！』
ひゃいって何よおおおおおお！！
馬鹿じゃないの私！！！恥ずかしい！！！
間抜けな返事には何も言わず、湯のみをテーブルに二人分置いた彼は続ける。
「本当は弟が二人いるんだけど……大丈夫か？」
『弟？』
「ごめん、最初に話しておくべきだったんだろうけど……その、他のやつの家にAが寝泊まりすると思うと黙ってられなくてさ」
『え……』
嫉妬、とも取れる言葉に胸が脈打つ。
まさか、私を他の人に取られたくないって思ってくれたの……？
そんなことを直接尋ねるまでもなく、彼の顔は真っ赤に染まっていた。
『そ、そんな顔真っ赤にしないでよ……』
「っるせー……何、Aまで赤くなってるけど。かわいい」
『んな……』
反論しようとした時、視界が反転し、隼人の顔と天井しか見えなくなった。
押し倒された、と思った時にはもう遅く、軽く唇に口づけをされ、彼はまだ赤みが残る顔をニヤリと歪ませた。
「これからよろしくな、A」
ああ……
私、月からの迎えが来るまでこのドキドキに耐えられるかしら。
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名無しの太郎 - 素敵です！オズロック様に堕ちたらどうなってたのか気になります…！！ (2019年12月5日 22時) (
レス) id: d3b3bddaab (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - ルインさん» 返信遅れて申し訳ありません！はい、改めてよろしくお願いしますね！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
ルイン(プロフ) - こんにちは、【キリサメ】から変えました。【ルイン】です！これからは、この名前で宜しくお願い致します。 (2018年7月8日 13時) (レス) id: a5db77accc (このIDを非表示/違反報告)
愛瑠(プロフ) - 歌紅羅さん» ありがとうございます！しばらく絶望的な更新スピードが続きますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。 (2018年7月6日 20時) (レス) id: 871e7b599c (このIDを非表示/違反報告)
歌紅羅(プロフ) - この作品、最高ですね。 これからも頑張ってください。 応援してますよ！ (2018年4月23日 14時) (レス) id: e988874bd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とくにないです(愛瑠) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/baraannzu1/
作成日時：2017年5月7日 16時
