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入社して3ヶ月間は研修期間がある。
それを経て、決まっていた部署へ配属され本格的な仕事が始まるのがこの会社の流れのようだ。
新入社員50人くらいの中に、俺の部署に配属されたのはたったの3人。
その他2人の同期とは仕事内容も違うので、実質俺の部署には俺一人の配属になった。
てっきり数人くらい一緒に配属されると思っていただけに、俺一人だけの配属は正直心細くて幸先不安しかなくて。
「おー、新人か。俺ミン・ユンギ。キミの教育係な」
「チョン・ジョングクです。よろしくお願いします」
若いはずなのにめちゃくちゃ貫録があって、ちょっと怖そうな人だと思った。
でも当時のユンギヒョンは厳しさの中にも優しさがあって、すぐに”尊敬する先輩”へと印象が変わった。
そして、仕事内容は違うけれど年の近いテヒョンイヒョンやジミニヒョン。
この部署の総括リーダーはナムジュニヒョン。
女の人も何人かいるけれど、その中でも特に異彩な雰囲気を放っている人がユンギヒョンの隣に立っていた。
今思えば、もうこの瞬間から俺は堕ちていたのかも。
「で、こっちがAな」
「ねえもうちょっと丁寧に紹介してよ…チョンくん、よろしくね!Aです」
「よ、ろしくお願いします」
「まあ、俺の右腕みたいなもんだよ」
「何か困ったことがあったら何でも言ってね」
「はい、ありがとうございます」
1年を通してわかったことがある。
Aさんは、バリバリのキャリアウーマンのような刺々しい雰囲気を一切放っていない。
気取ることもなくて、常に笑顔で、優しくて、かわいくて。
それでいて仕事中はすごく一生懸命で、時にはガス抜きをして、また一生懸命頑張っていて。
表立ってバリバリにこなすユンギヒョンの裏側で、優しく的確なフォローをしてくれていた。
縁の下の力持ちとはまさにこのことだと思う。
食堂で同期の女の人たちと美味しそうにご飯を食べるところも、
パソコンと睨めっこしながら考え事をしている表情も、
”ジョングクくん”と呼ぶ声も、
この1年ですっかりAさんの虜になってしまったのだ。
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作者名:SLY | 作成日時:2019年5月23日 13時