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「ジョングクくん、ドライヤーってある？」
「ありますよ、今行きますね」
お風呂から上がったらしいAさんが洗面所から声をかけるのでドキリとしながらも立ち上がった。
いつもなら絶対に聞いたことがない、リビングにいる間のお風呂からのシャワーの音。
しかもそこにいるのは俺の大好きな人。しかもお風呂上がりの姿を拝むことができる。
落ち着いていられるわけがなかった。
「すいません、用意しとかなくて。これです」
「あ、ごめんねありがとう〜」
「………」
「…な、なに？」
いつもの脱衣所、いつも俺が使っているシャンプーやボディーソープの香りのはずだ。
なのに何でAさんが使うともっといい香りに感じるのだろう。
脱衣所に漂う香りと独特の温かい湿度が、俺の身体をぶわりと熱くさせた。
そして髪をタオルドライしただけのAさんは、タオルを頭にかぶったまま俺の顔を見ないようにしているように見て取れた。
この狭い部屋に二人だけ、湿度の高い空間で、お風呂にも入っていない俺がのぼせ上りそうなのは目の前にいるこの人のせいだ。
「…顔見たいです」
「へっ！？だ、だめ！」
「Aさん、」
そっとタオルをAさんの頭から取ると、あっと声をあげる。
タオルを取られるのを想定していなかったのか、すっぴんになったAさんと目が合った。
既にこの状況にドキドキしていたのに、Aさんと目が合った瞬間心臓が飛び出るかと思った。
「ちょっ…！」
「………かわいい、」
「え…っ、待って見ないで、」
「肌綺麗です。うわ…めっちゃかわいい、」
「ちょっとやめて…」
「触ってもいいですか」
答えを聞く前に、俺の手はAさんの頬に伸びていた。
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作者名：SLY | 作成日時：2019年5月23日 13時
