love chase__Yuta.J (ページ45)

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あなたside

″係長″と″主任″という新たな立場でスタートした

新年度はびっくりするほど忙しくて残業はほぼ毎日。

特に勇太は終電ぎりぎりまで残業することが多くて

職場でたまに顔を合わせるものの

ゆっくり話をすることすらできていない。

どんどん勇太がげっそりしてきたことが心配で

金曜日だし、勇太の家で帰りを待つことにした。

日付が変わりそうな頃にやっと玄関が開く音がした。

「おかえり。今日もお疲れさま！」

神「ただいま。来てたんだね、部屋汚くてごめん。」

「ううん。毎日遅くまで頑張ってるの知ってるから」

私の体が勇太によって包み込まれる。

神「少しだけこのままでいさせて。」

肩が濡れる感覚で勇太が泣いてることがわかって、

ふわふわの頭を優しく撫でてあげる。

神「どれくらい頑張ったらさ、係長なれるのかな？」

「勇太はさ、もうすっごく頑張ってるよ？

飛ばしすぎるのもよくないから、焦らずいこう？」

神「焦るよ！！！

もう6月だし、12月には決まっちゃうんだよ？

今、頑張んなきゃダメなんだよ！！」

「勇太、ちょっと落ち着いて！

体壊しちゃったら元も子もないでしょ？

焦る気持ちもわかるけど、勇太の頑張りは

上もわかってるし評価もされてるんだから、ね？」

神「俺には時間がないの！！！」

「私のために頑張ってくれてるの、すごく嬉しいよ。

だけどさ、そんなに焦らなくても私は待ってるよ？」

神「それじゃダメなんだよ！来年じゃなきゃ！！」

勇太がこんなに声を荒らげているのは初めてだし

何て言ってあげるのが正解なのかもわからなくて

泣いちゃだめだと思っているのに

だんだん視界がぼやけてくる。

「…今日はもう帰るね。

ごめんね。疲れてるのに突然来て。」

下を向いて泣きそうなことに気づかれないようにして

急ぎ足で部屋をあとにした。

バタンと玄関が閉まると同時に堪えていた涙が

溢れ出てきてその場にしゃがみこんでしまう。

…何もしてあげれなくてごめんね、、

無力な自分が情けなくて嫌で。

勇太がこんなにも私のために頑張ってくれてるのに。

この週末、冷静になって考えよう、、

終電はもうないけど、たった1駅だから歩こうかな。

6月とはいえ夜はひんやりとして肌寒くて、

こんな日は勇太にあっためてもらいたいな…

なんて思いながらとぼとぼと家に向かっていく。