嶋﨑さん家の長女 (ページ45)

今日:18 hit、昨日:41 hit、合計:336,252 hit

ズルい人ページ45

風雅side

一目惚れ。

そう一言で表してしまえば簡単な言葉なのに。
でも、そんな風に完結にまとめてほしくない。とも思う。

だってこの気持ちはそんな単純なものでは無いから。
幼いながらに感じ取ったあの感覚は、いまだ強烈に自分を縛り付けている。

風雅「Aちゃん」

「ん？どうしたん？」

風雅「斗亜の写真見てニヤニヤしとるやろ顔変やで」

「え、ほんま？ニヤニヤしとるんバレとった？」

幼い自分は好きな人への好意の示し方が分からない。
付け加え、彼女は自分の6つも上。

可愛い弟のメンバーぐらいにしか見られて居ない事ぐらいは自覚しているし
それ以上を今望んでいるわけでもないから。
つい悪態をついて、少しだけでも自分に視線を向けようとする。

でも、そんな悪態をついても彼女は俺たちを第二の弟のようにしか見ていないから軽くあしらわれてしまう。

風雅「写真見んでも斗亜はそこに居るやん」

「そうなんやけどな、寝てる斗亜ちゃん起こしちゃ悪いし」

風雅「起きたらどっか行っちゃうしね」

「せやねん、やからとりあえず今は写真で抗体つけとる」

風雅「重症やな」

いっそ、彼女に好きだと言ってしまえば。

叶わぬ恋なのは分かりきっているから、今ここで終止符を打ってしまえば。

「あ、でも見て、この風雅の写真かわいい！」

風雅「そう？かわいいってあんまうれしないけど」

「写真はね、実物はかっこいいもん」

彼女にとってはどうって事ないそんな一言に。

風雅「Aちゃんはほんまズルいわ」

苦しまなくてすむのに。