嶋﨑さん家の長女 (ページ33)

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どこに居たって君の味方ページ33

良規side

寒い冬の日。

「東京ほんま寒いわ、湯たんぽのり欲しい」

良規「湯たんぽのりって？」

「湯たんぽと良規を合わせて湯たんぽのり」

良規「なんやそれ」

Aから急に電話がかかってきたと思ったら
久しぶりの一言より先に「斗亜がな～」から始まった話。

相変わらずの斗亜の話と、仕事の話と、最近あった面白かった話と。

あとは少しの世間話。

「良規って汗っかきやから蒸発してあったかくなるかもしれんやん」

良規「サウナみたいな感じって事？」

「そうそう、ほんなら湯たんぽのりやなくてサウのりやな」

良規「なんかごろ悪いな」

「逆にいい言い方ある？」

良規「いや、思い浮かばへんわ」

そして続く沈黙。

Aが急に電話をかけてくる日は、何か話したい事がある日か
何か悲しい事があった日。

たぶん今日は後者の方。

良規「A、何かあったん？」

「･･･今良規がどんな顔してるか想像できるわ、絶対眉めっちゃ下がって、心配そうな顔してる」

良規「そんな顔してへんかもしれんで？」

「ううん、良規はいつもその顔して私のもやもや取ってくれるもん。やからきっと今もその顔してる」

そう言いながらケータイ越しに笑うA。

「良規の声聞くとな、安心すんねん。さすがみんなの心の実家」

良規「俺もAの声好きやで」

「え！ほんま！初めて言われたわうれしい」

勇気を出して言った一言も彼女には届かない距離だけど。

良規「やから、いつでも話聞くで」

どこに居たって俺はAの味方。