・ ページ31
「...なんやこれ」
思わず京都の言語が、と口を押さえる。
けれどもそれを余儀無くされたのだ、誰に責められているわけでもないが許してほしい。
「...何で誰もおらんの...？いや、おるにはおるけど」
先程までは大量の人が忙しなく歩き回っていたと言うのに、今となっては道の全貌が見えている。
さっき通ってきた道は、タピオカやらたこ焼きやらの露店で一杯だったのに。
今見える景色は、異様な形をした果実を売る唐笠お化けの商店。
並ぶは座敷わらしの振る舞う和菓子のお店。
古風な妖怪が並び、また異常な商店が並ぶ。
何事かと一歩引くと、何かにぶつかり慌てて振り向いた。
「あっすいませ、」
「なんや、さっきの人やんか。別に化かされとる訳や無いから諦め」
黒ローブの人だ。
この状況を疑問に今になって思う。
「ここは妖怪の街、大阪や。京都にも同じようなんがあるんやけど、支配人は生まれが江戸やからなぁ」
「は、はい？」
「自分、名前何て言うん？」
「須貝、です。須貝駿貴」
「須貝さんはアニメ好きやのに、2次元的展開には思ったより付いていけへんのやね」
黒ローブのフードを下ろした彼女。
見えるのは美しい耳と日本らしい黒髪。
スマホを素早く操り一瞬で俺のことを調べたらしく、口振りは旧知の友のようだ。
「んー、でも通天閣が現世に開通すんの、早くても三時間必要。せやからちょっと待っといてくれへん？帰りたいんやろ？」
「ま、まあ...電車とかもありますし」
「せやな...この表通りは見ての通りゲテモノしか置いとらんけど、裏通り入ったら普通の食べもんあるから、これで食うてきたらええと思う」
ちゃり、と手渡された不思議な金属。
見たこと無い見た目と感じたことの無い肌触りに、何の合金だろうかと思考を巡らせてみる。
「研究させるために渡したんちゃうで。あぁ、せや、私の名前は「月」。月って書いてルナって読むキラキラネームや」
よろしく、と差し出された手を握ると、にかっと微笑まれた。
ルナさんは何の妖怪なのだろう。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 607人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒酸塊(カシス）(プロフ) - やまうみ。さん» え、じゃあタメでいきますよ…？？これからリクエストするかもです、その時はタメで話しますね(このコメントすらタメではない) (2019年10月18日 17時) (
レス) id: 55ecacd765 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 氷牙さん» 好きすぎる() ありがとうね、よし、君は今からお友達だっ！(誰目線) 続編でもよろしく、リクエストは何でも待ってるよ！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 黒酸塊(カシス）さん» えぇ?!いやいや、まず神作者じゃないですからいいんですよ?!遠慮しないでタメ口でいいですよ！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - フェレットさん» あっ、ありがと(ﾊｧﾄ)← これで相思相愛か、結婚しよ((( 結婚はしないけどこれからもよろしくね！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
氷牙 - やまうみ。さん» いちからひゃくまで〜のファンです！いつもいつも自分のマニアックなリクエストにも答えて頂けて嬉しいです！ 自分もやまうみさんとお友達に是非なりたいです！ (2019年10月17日 22時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
