・ ページ27
「さあ、終点です。お別れですね」
名残惜しそうにも見えない彼女。
やはり俺の事が好きなどあり得ないだろう。
...けれど、俺は。
「楽しかったですよ。日南さん」
「えぇ、私もです」
「...夢から醒めても、会えますか？」
「...さあ...会いたいんですか？」
この悪戯好きな笑顔に、不覚にも心を奪われてしまったのだ。
「会いたいです...日南さんとずっと一緒が良いです。なんなら、この列車から降りなくたって...！」
「ダメですよ。そうすれば本当に貴方は死んじゃいます」
＿貴方は、待っている人がいるのでしょう？
「日南さんは、いないんですか。待っている人」
情けなく、子供みたいに泣いて、俺は少しずつ減速する列車に掴まる。
離れたくなど無い。
この不思議な魔力に、一生囚われても。
ただ、そう思う度にQuizKnockのメンバーの顔が浮かぶ。
「いませんよ。川上さんと違って」
「...なら、俺が待ちます。絶対、絶対死なないで、会いに来てください」
そう言ったのを最後に、列車は止まりドアが開く。
俺は震える足で、その外へと踏み出した。
*
「...あれ...俺...」
iz「っ川上?!」
目覚めて見えたのは、白い天井と横で叫ぶ伊沢さん。
ぼやけてる視界。
俺は泣いているのか。
ko「良かった...川上さん生きてた...」
ym「怪我もないのに起きないから、死んじゃったのかと思いましたよ〜」
fk「俺のこと、わかる？記憶喪失とかじゃない？」
「ふくらさん...こうちゃん、山本...って、何でこんなにメンバーいるんですか」
俺は病院服を着ていた。
寝台から起き上がり周りを見てみると、動画に出ていないメンバーすらいた。
「てか、俺何で病院に？」
志賀「覚えてないんですか？」
「...うん...」
寝ていることも、みんなの近くにいたことも知っていた。
だけど彼女はどんな理由で寝ているのかは言わなかった。
気にしようとも思わなかったけど。
山森「トラックに轢かれそうになったんだよ。それで突然現れた女性と一緒に倒れて」
「っ、その女性！名前とか、状態とか...」
km「名前は「日南A」さん。状態は川上と同じく昏睡で無傷。上のフロアにいるって」
日南さんが、生きてる。
「日南さんが...よかった」
俺は再び涙を流す。
銀河鉄道と、あの夜。
終点、南十字は、始まりの場所。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 607人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒酸塊(カシス）(プロフ) - やまうみ。さん» え、じゃあタメでいきますよ…？？これからリクエストするかもです、その時はタメで話しますね(このコメントすらタメではない) (2019年10月18日 17時) (
レス) id: 55ecacd765 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 氷牙さん» 好きすぎる() ありがとうね、よし、君は今からお友達だっ！(誰目線) 続編でもよろしく、リクエストは何でも待ってるよ！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 黒酸塊(カシス）さん» えぇ?!いやいや、まず神作者じゃないですからいいんですよ?!遠慮しないでタメ口でいいですよ！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - フェレットさん» あっ、ありがと(ﾊｧﾄ)← これで相思相愛か、結婚しよ((( 結婚はしないけどこれからもよろしくね！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
氷牙 - やまうみ。さん» いちからひゃくまで〜のファンです！いつもいつも自分のマニアックなリクエストにも答えて頂けて嬉しいです！ 自分もやまうみさんとお友達に是非なりたいです！ (2019年10月17日 22時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
