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「...落ち着きましたか？」
「...はい」
暫くすると落ち着いたらしい、彼女は正気で返事をした。
「何があったんですか？良ければお聞きしますよ」
「...それが、分からないんです。さっきまで、何かしていたはずなのに何も思い出せなくて困ってて。私が何故泣いていたのか、笑ってたのか叫んでたのか、分からないんです」
記憶喪失、で正解なのだろうか。
「私が持ってる記憶は貴方に話しかけられたところからです」
じっと俺を見るその目は、先程とは違い黒く美しい。
俺は彼女の頬を流れていた涙のあとを拭ってあげながら彼女を見た。
すると。
「っ、今、何か、思い出しそうだった」
「え？」
「同じこと、しててください。きっと思い出します」
言われなくてもそのつもりだが、その言葉に従い彼女の頬に触れる。
「！」
「思い出したんですか？」
「...そうだ、私...っ?!」
彼女は何かを言おうとした瞬間、がくりと崩れ落ちる。
慌てて起き上がらせてみると、その目はまた深い赤に変わっていた。
叫ぶ。
俺は急いで彼女の口を塞いだ。
期待を裏切らず俺の手に声の振動が伝わる。
また泣きながら、叫んで、落ち着いて。
「っ、思い、出したんです、けど、」
途切れ途切れの言葉と表情。
彼女の意図せぬ百面相。
彼女の中に一体何があると言うのだろう。
きっと二重人格の複雑バージョンと考えるのが安易なのだろうが。
「私は、記憶の持つ方の人格で、もう片方が、入れ替わる度に忘れる人格なんです」
...そこまで複雑でもなさそうだが、普通のよりは大変そうだ。
「それで、親に家を追い出されて...お医者さんは、「ストレスが原因で二人目が出てくる」って」
苦しそうな表情で言うものだから、俺は彼女を抱き締めた。
1分間のハグでストレスがとても消費されるとのことだ、正しいかは知らんが試しても損害はなかろうて。
「...私、生きてていいんでしょうか」
「...少なくとも、貴方は生きてた方がいいです」
もしかしたら、これは狂気の恋かもしれない。
名前も知らず、性格も出身も何も知らず。
二重人格と通りすがりのただの男。
記憶の持たない君に、キスを捧げてみようか。
*
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黒酸塊(カシス）(プロフ) - やまうみ。さん» え、じゃあタメでいきますよ…？？これからリクエストするかもです、その時はタメで話しますね(このコメントすらタメではない) (2019年10月18日 17時) (
レス) id: 55ecacd765 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 氷牙さん» 好きすぎる() ありがとうね、よし、君は今からお友達だっ！(誰目線) 続編でもよろしく、リクエストは何でも待ってるよ！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 黒酸塊(カシス）さん» えぇ?!いやいや、まず神作者じゃないですからいいんですよ?!遠慮しないでタメ口でいいですよ！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - フェレットさん» あっ、ありがと(ﾊｧﾄ)← これで相思相愛か、結婚しよ((( 結婚はしないけどこれからもよろしくね！ (2019年10月18日 7時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
氷牙 - やまうみ。さん» いちからひゃくまで〜のファンです！いつもいつも自分のマニアックなリクエストにも答えて頂けて嬉しいです！ 自分もやまうみさんとお友達に是非なりたいです！ (2019年10月17日 22時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
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