5小節目 ページ6
「あ、あの、、、」
もやし、ことユンギと呼ばれていた青年は、小さく絞り出すように声を出した。思いのほか、低い声をしているのだな、とAはぼんやりと思う。
「こ、ここで働かせてください、、、」
(なんだこの既視感は。あ、あれだ。日本のアニメ映画で大ヒットしたやつだ。名前取られちゃうよ、ユンギ君、ユンとかなっちゃうよ。あら、かわいい。)
いや、違うそういうことじゃない。
Aは次から次へと出てくるいらない心の声を振り払うかのように、自分の頭をボリボリとかいた。
「あの、ユンギさん、ですよね？」
「え、なんで知ってるんですか？」
意を決して聞いてみると、ユンギは真っ赤な顔で、でもちょっと訝しげにAを睨む。
「あの、昼間の講義、俺いました。」
「あ、そうでしたか、、すいません、、。」
昼間のことを思い出したのか、より一層赤くなってしまったユンギは視線を完全に落とし、俯いてしまった。
「ここで、立ち話もなんだし、奥の事務所へどうぞ。オーナー呼んできます。」
「は、はい。どうも、、、」
ようやく店内に入ると、一気にスタッフの視線がユンギに集まる。それを感じたのか、怯えるようにギクリと歩みが止まってしまった。
「こっちです」
「え？」
「大丈夫です。みんないい奴らだから」
思わず、Aはユンギの手を握っていた。とっさの自分の行動に、A本人も驚く。ただ、あのまま立ちすくみ震えるユンギを見ていられなかった。
握ってしまってから、昼間ジンに言われたことを思い出す。
『昔、付き合ってた』
ジンの言っていたことが、本当かどうか、Aにはよくわからないでいた。けれど、どうにもこの胸の高鳴りが収まる様子もなく、握ってしまった手がなんだか痺れるように熱く感じた。
ちら、とユンギの方をみると、握られた手をそのままに、引かれるままついてくる。未だに顔も赤いまま。
ふと、冷静になって考えてみる。
こんな状態で、ここで働けるものだろうか？
自分的には、ここでユンギが働いてくれたら、どんなにか面白いかわからない。けれど、接客もしなくてはいけないこの店で、こんな状態でステージに立つことはおろか、雑用すらこなすことができるのだろうか？
まぁ、超人見知りだったジョングクが採用された事例もあるわけだし、オーナーも相当変わり者だから。
今日一日で起きた目まぐるしい展開も、きっとなにかの運命だ。
そう思えば、全て上手く事が運ぶような気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ささづか(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます！嬉しいです！更新遅いですが、暖かく見守って下さいませ！ (2019年9月24日 16時) (
レス) id: 545ea4fbb5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 凄い好きです！！頑張ってください！！ (2019年9月22日 11時) (レス) id: da52e12bf3 (このIDを非表示/違反報告)
ささづか(プロフ) - Min Haniさん» わ！ありがとうございます！そうです！あのユンギさんが可愛すぎて見切り発車で始めました。亀更新ですが、気長にお待ち頂ければ幸いです^_^ (2019年7月9日 19時) (レス) id: 545ea4fbb5 (このIDを非表示/違反報告)
Min Hani(プロフ) - わー！BTS Worldのユンギですね！可愛い！続きを楽しみにしておりますヽ(´▽｀)/ (2019年7月9日 15時) (レス) id: 8dfdec943d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ささづか | 作成日時：2019年6月28日 13時
