祀り姫は宿儺の器に成り代わる参【呪術廻戦】

137章、呪術師の成長領域 ページ40

虎杖悠里は、この世界を知っている。
だから伏黒の成長期が
ここであることなどよくわかっていた。
呪術師の成長が必ずしも緩やかでない事も
彼が特級に勝てる可能性を秘めている事も
全てわかっている。

だから、彼女は、伏黒に気づかせようとしたのだ。いつも他人を先に思う彼が
自由になれる瞬間を……強さを

｢やってやるよ！！領域展開｣

嵌合暗翳庭

血をダラダラ垂らしながら、
伏黒は呪いに攻撃をした。
不完全で不恰好、最低もいい所かもしれない。
でも、今はそれが良かったのだろう。
様々と形を変えて、式達は呪霊を捉え続けた。
術式を自由に広げて解釈をする……
呪霊は、
伏黒に向け
楽しげに呪力波をぶつけようとした。
でも、そこに彼の姿はもうない。
玉犬渾の爪は特級に傷をつけるほどの威力があり、
領域内でさらに力を増していたため、
不意の呪霊の背中を貫くなど造作も無かったのだ。
爪に貫かれ、呪霊は、消え領域は無くなった。
しゃがみ倒れる伏黒の手には
宿儺の指が握られていた。

｢……どこだよあいつら｣

伏黒の脳内に過ぎるのは、眠りについた大切な姉の言葉だ。
呪霊を倒しても、姉はきっと目覚めない。
呪いの原因を見つけない限り……
伏黒は、宿儺の指を見つめ、何かを抱え続ける少女にも思う。

虎杖……お前を俺は……

伏黒が特級を祓うと、
彼女はその場に直ぐにしゃがみこんだ。

胸が苦しい……恐らく宿儺の指への共鳴だ。
きっと、そうだ。
彼女は息を少し吐きながら、
目の前の呪いを1度追うのを辞め
何かの名を呼ぶ

「さてっ……ちょっと状況把握が必要かな……
おいで……術式天…伍……紅黒錦……黒」

138章、背を見られたくない男→←136章、強き者と強くなる者

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す