祀り姫は宿儺の器に成り代わる弐【呪術廻戦】

82章、引き返せない ページ35

｢吉野順平…君はね、私の嫌いな人達によく似ているよ…弱い人だ。たくさん考えて弱いから自分を正しいとする。｣


｢でも、それって、人間のさがなんだと私は思うんだ…だから、私は君に命について考える時間を与えた｣

｢でも、君はなんでお母さんのそばに行かず
こんな人間を殺すことにしたの？｣

彼女の顔は悲しげだった。
まるで、泣いてるように酷く苦しそうに見える。
さらに、彼女はどうやら母の事ももうわかっているようだ。

｢母さんのこと聞いてるんだね…ならわかるだろ！僕の気持ち！その男を渡せ！！トドメを刺してやる！｣

だけど、止まれない。だってもう
僕には分からないから、何が正しいのか、何が悪いのか…
なんで僕なのか、…なんで母さんなのか

内心から湧き出る憎悪も怒りも
全て呪術は応えてくれる。
力をくれるだから吉野は真人から授かった
この力が特別に見えた。
それに今更引き返せない。
だから、
彼はその怒りを彼女に思いっきりぶつけようとした。

その時だ。彼女はこうつぶやく。

｢ごめんね…君にここの生徒を殺させる訳には行かないの…術式天…壱…神隠｣

彼女がそう唱えると、
吉野は体育館ではなく
何故か教室が沢山ある廊下に移動していた。

｢なんだ？！｣

｢なんで！！邪魔をする！！僕はあいつをっ｣

真人から聞いていたのは彼女を酷く愛してると言う事だけで
彼女の力について吉野は何も知らなかった。
だが、吉野は思った。
目の前の彼女は本当に強のだと、
さらに、彼女との力の差を格段に感じたのは
彼女の周りの空気があまりに静かな事だ。
怖くなった。でも、
彼も止まれない、母を呪ったやつが憎くて憎くてしかたがない
吉野は何度も触手で彼女を攻撃しようとする。
でも彼女は可憐に避けてしまう。
の繰り返し、イライラがつのり、吉野が彼女を睨んだ。

｢なんで！！邪魔をする！！無闇な救済に何の意味がある！！｣

｢命の価値を履き違えるな！！！｣

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